研究概要 |
本研究では、ファレノプシスの葉肉細胞からプロトプラストを効率よく単離する条件を明らかにし、得られたプロトプラストの培養条件の検討を行い、これまで成功例のないPLBおよび植物体の分化誘導を試みた。プロトプラストの単離には、無菌材料が得られ、均一性が高いことから、花茎培養由来のシュ-トの最上葉を用いた。これらのシュ-ト葉からのプロトプラストの単離は、以下の手順によって効率よく行なえることが明らかとなった。すなわち、(1)約1mm幅で中央脈に垂直に細切した葉切片を前処理液(B5培地に400ppm PVP添加)に30分浸漬後、(2)25℃、暗黒下で3時間の酵素液処理(B5基本培地に0.1%ベクトリア-ゼYー23,2%セルラ-ゼYC,0.4M sucroseおよび400ppm PVPを添加)を行い、(3)得られたプロトプラスト懸濁液をナイロンメッシュでろ過後、90xgで5分間遠心し、(4)浮上させて回収したプロトプラストを洗浄液(B5培地に400ppm PVPおよび0.4M sucroseを添加)に懸濁し、90xg10分間の遠心を2回行ってプロトプラスを精製する。この方法によってプロトプラストの収量は約1.1〜1.2x10^6個/g fr wtとなった。これらのプロトプラストを種々の条件下で培養したところ、基本培地に0.1mg/1NAA,5mg/1BA,5mg/1adenine,10mg/1Lーornitine・HC1,1g/1Lーglutamine,400ppmPVPを添加した培地(0.18% Gellan Gumでゲル化)において、培養1〜2週間後にプロトプラストの不等第一分裂が認められた。この分裂が認められた細胞のうち頂端細胞はその後も分裂し、数細胞になったが、コロニ-形成はみられなかった。そこで、より分裂能の高いPLBからCPW液(上記の酵素および0.5mannitol,400ppm PVPを添加)を用いてプロトプラストを単離し、上記の培養培地(2mg/1NAA,1mg/1BAに変更)で培養したところ、不等第一分裂およびコロニ-形成が認められた。しかし、これまでのところ植物体分化までにはいたっていない。
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