研究概要 |
1.成熟ラットにおいて、高分子量抗原(LPS,KLHなど),可溶性抗原(HGH,PHAなど),アルミナに吸着させた可溶性抗原を局所的に投与した場合,所属リンパ節に濾胞を誘発するか否か検討した。その結果,高分子量抗原,アルミナ吸着抗原は濾胞を誘発するのに対し,可溶性抗原では誘発しないことが示された。この結果は、濾胞形成がリンパ球とマクロファ-ジの両者を活性化する抗原によって誘発されるとする我々の作業仮説を支持するものである。 2.ラット,モルモットにおいて、膝窩リンパ管節発育期に輸入リンパ管を切断すると、リンパ節構造(濾胞,深皮質単位)の発育が著明に仰制され、ないしは停止するのみならず、モルモットにおいては、リンパ節が消失してしまかことが示され、リンパ節発育の輸入リンパ依存性が明確となった。 3.リンパ節発育のどの時期から外来性抗原に反応して濾胞形成を行うか検討している。マウスでは生後1週目頃から濾胞が出現しはじめるが、この時期に抗原刺激を加えると濾胞形成が誘発される。生後0,2,3,5日に局所的抗原投与を行ったところ、生後3日以後の抗原投与によって、所属膝窩リンパ節での濾胞形成が誘発された。なお、ラットについても同様の実験処置を加え観察を行っているところである。 4.リンパ濾胞の生常発育には、抗原以外に何らかの因子が関与している可能性がある。現在、幼若期および成熟期血清、血球,あるいはサイトカインを用いて、濾胞形成を誘発するか否かを検討中である。なお、血清について検討したところでは、濾胞を誘発する作用を証明できなかった。 5.濾胞形成の場としてのリンパ節皮質について電顕的観察を始めているが、通常の電顕では解析が困難であることから、新しいタイプの電顕EMー002A(明石ビ-ム・ラクノロジ-)を導入すべく努力しているところである。
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