研究課題/領域番号 |
63570042
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
宮崎 俊一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (80010081)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 哺乳動物卵 / 受精 / 細胞内カルシウム / GTP結合蛋白 / イノシトール3リン酸 / フォルボールエステル / プロティンキナーゼC |
研究概要 |
本研究は、哺乳動物卵の精子による賦活、未分化血液細胞の増殖因子反応に際して、細胞膜のカルシウム(Ca)イオン透過性を上昇させることによって(流入するCaが直接的にか間接的にか)細胞内Ca増加をおこすことがありうるかを検索することを目的とした。実際には、研究代表者が転任になったため、本年度は前者のみに限定せざるを得なかった。ゴールデンハムスター卵の体外受精系を用い、細胞内Ca増加を膜電位記録、及びCa結合性発光試料エクオリンを予め細胞内に注入し、Caエクオリン結合による発光を記録した。受精時のハムスター卵は、一過性のCa増加をくり返しおこすが、個々の増加は細胞内Ca貯蔵部位(Ca store)からのCa遊離によるものであり、これがくり返しおこるためには細胞外からのCa流入がCa storeへのCa補給に必須であると考えられた。この受精時のCa増加反応は、未受精卵にGTPrsを電気泳動的に注入することによってもおこる。即ち細胞膜のG蛋白活性により産生されるイノシトール3リン酸(IP_3)が細胞内二次メッセンジャーとしてCa遊離をおこすことがわかった。他方、IP_3と共に産生されるジアシングリセロール(DAG)に活性化される蛋白キナーゼC(PKC)が膜のCaチャンネルを活性化しCa流入を増加させるのではないかと想定して、DAGや発癌プロモーターであるフォルボールエステルを投与してPKCの活性化を試みた。予想に反し、PKCはGTPrsによるCa増加反応を抑制し、PKCはG蛋白の活性化を抑制するというネガティブフィードバック経路を発見するに至った。さらに、精子によるG蛋白活性化、又は細胞外に与えたセロトニン・受容体結合は、細胞内GTPと協同作用をもってG蛋白を活性化し、これはくり返すCa増加反応を増強しており、PKCによっては完全に抑制しきれないことがわかった。今後さらに、精子がG蛋白を活性化する機構、Caチャンネルがどのようなメカニズムで活性化されるのかを検索する必要がある。
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