研究概要 |
ω-コノトキシン受容体(Caチャンネル成分)を追究するため、^3H-ω-コノトキシンGVIAを調整した。^3H-GVIAは、ウシ脳膜分画の2つの特異的な部位(Kd〜3pMおよび4nM)に結合した。2ケ所の部位はきわめて似た性質をGVIAの結合に関して示したが、高親和性部位のみがCa拮抗剤のジルチァゼムにより立体特異的に阻害された。GVIA受容体は種々の界面活性剤によって可溶化されたが、ジギトニンが最も高い活性を与えたので、以下の実験ではジギトニンが用いられた。ジギトニンで可溶化したGVIA受容体へのGVIAの結合はKdが約0.3nMの単一部位を示した。この部位へのGVIAの結合がジルチァゼムにより阻害されるので、もとの膜分画の高親和性部位に相当するものと考えられる。可溶化した受容体は20Sの沈降定数を示し、大きなサブユニット複合体であると予想される。ゲルロ過、イオン交換、レクチンアフィニティ-・クロマトグラフィ-等によるGVIA受容体の精製は困難であることがわかったので、単クロ-ン抗体の作製を試みた。ウサギ骨格筋のミクロソ-ム分画より単離したL型Caチャンネル分子(ジヒドロピリジン受容体)に対して作製した単クロ-ン抗体の一つは、ウシ脳と心筋から可溶化したジヒドロピリジン(DHP)受容体の80%以上を沈降させたが、GVIA受容体(ウシ脳)は全く沈降させなかった。それ故、DHP受容体とGVIA受容体とはほとんどが異なる分子であることが証明された。ウシあるいはラット脳のシナプス膜分画でマウスを免疫し、GVIA受容体を沈降させる単クロ-ン抗体を得た。幾つか母抗体のうちの2個は、ウシ脳GVIA受容体のそれぞれ約1/3を沈降した。しかし、両者を同時に加えても沈降するGVIA受容体はわずかしか増加しないので、両抗体は同一のGVIA受容体集団を認識しているらしい。両抗体は仏ノブロットで、分子量36,000あるいは28,000のタンパク質を認識した。これらのタンパク質は神経系に局在している。
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