研究課題/領域番号 |
63570088
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯野 正光 東京大学, 医学部, 助手 (50133939)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 平滑筋 / カルシウム / イノシトール三燐酸 / カフェイン / アゴニスト / セカンドメッセンジャー / 収縮 |
研究概要 |
平滑筋の収縮における細胞内カルシウムストアからのカルシウム放出の意義を、スキンドファイバーと生筋の実験を対照しながら追究した。スキンドファイバーにおける研究により、モルモット盲腸紐平滑筋のカルシウムストアには、カルシウムによるカルシウム放出機序(CICR)とイノシトール三燐酸によるカルシウム放出機序(IICR)があり、ストアの一部(Sα)には両方のカルシウム放出機構があるが、残り(Sβ)にはIICRはあるがCICRはないこと、またライアノジンはCICRチャンネルが活性化されている時にこのチャンネルに結合して開口状態に固定することが示されている。本研究ではこのことが門脈と肺動脈でも同様に成立するが、全ストアに対するSαの比率が、盲腸紐、門脈、肺動脈でそれぞれ、約40%、10%、70%と異なることを明らかにした。ライアノジンの効果は、実験を行った20℃前後では実際上非可逆的であり、これによってSαのカルシウム取り込み能が失われることがわかった。このライアノジンの作用を生筋に応用し、ライアノジンを用いてSαの機能を除去する前後におけるカルシウム動態を比較して、アゴニスト収縮におけるSαの意義を上記三種の平滑筋で求めた。いずれの部位の平滑筋でも、アゴニスト投与直後からストアからのカルシウム放出が起こり、収縮初期では動員されるカルシウムのほとんどがSαに由来することがわかった。持続的なアゴニスト投与における収縮のピーク値に対する寄与は、盲腸紐では低いが、門脈と肺動脈では50%から90%以上に達することがわかった。盲腸紐と門脈ではSαの寄与は比較的短時間(1〜2分)で消失するのに対し、肺動脈では数分にわたって持続する。この様な結果からSαは少なくともアゴニスト収縮の初期相において非常に重要であることが明らかとなった。Sβの寄与は大きくないようであるが、その原因の可能性について議論した。
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