研究課題/領域番号 |
63570090
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
重信 弘毅 東京大学, 薬学部, 助教授 (50012654)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | モルモット心室筋 / 幼若ラット心室筋 / 成熟ラット心室筋 / 微小電極法 / カルシウムチャネル / ナトリウムイオン / 活動電位 |
研究概要 |
モルモット心室標本で、細胞外液をEGTA加無Ca^<2+>栄養液に交換し交感神経β作用薬を投与すると、活動電位の異常な延長が起こることを見出したので、この電位を利用して心筋細胞のCa^<2+>チャネルに関する基礎的検討を行うと共に、発生薬理学的ならびに比較生理学的検討を加えた。基礎面での主な実験結果は、(1)この電位は各種のβ遮断薬により拮抗されるがα遮断薬では拮抗されない、(2)ヒスタミン、CAMP誘導体、およびphosphodiesterase阻害薬などCa^<2+>チャネルを活性化する各種の手段でも誘起される、(3)Mg^<2+>や各種のCa^<2+>拮抗薬で抑制される、(4)テトロドトキシンなどのNa^+チャネルの抑制薬は有意の作用を示さない、(5)外液Na^+濃度依存性がある、等である。従って、この持続時間の異常に長い電位は、Ca^<2+>チャネルを通って流入するNa^+によって形成されるものであり、細胞内Ca^<2+>が減少する為に不活性化を受けにくく、異常に長時間持続するものと結論された。次に、プラトーを欠く成熟ラットとそれを有する幼若ラットを比較したところ、幼若ラットでは同様の電位を誘起しうるが、成熟ラットでは誘起し難い傾向が認められたので、両者のCa^<2+>チャネルの発達を比較した。Ca^<2+>拮抗薬と、細胞内筋小胞体からのCa^<2+>遊離の特異的抑制作用を持つライアノジン(この考え方の妥当性についても基礎的検討を加えた)を用いて、これらの効果を比較したところ、Ca^<2+>拮抗薬は幼若ラット心筋に、ライアノジンは成熟ラット心筋に対してより強い効果を示した。従って、幼若ラット心筋では成熟ラットよりCa^<2+>チャネルが発達していることが示唆されたので、これらの標本および通常のモルモット心筋を用いて上記の長持続活動電位を比較検討すれば、Ca^<2+>チャネルそのものの研究のみならず、発生薬理学的ならびに比較生理学的見地からも有意義であると考えられるので、研究を続行中である。
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