研究課題/領域番号 |
63570148
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
|
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
向井 萬起男 慶應義塾大学, 医学部・病理学教室, 講師 (50101895)
|
研究分担者 |
鳥潟 親雄 慶應義塾大学, 医学部・病理学教室, 講師 (70051563)
|
研究期間 (年度) |
1988 – 1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1988年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | 滑膜肉腫 / 免疫組織化学 / レクチン組織化学 / 実験的肉腫 |
研究概要 |
1)滑膜肉腫例の種々の方法による検索:光顕的には従来言われている細胞二相性、腺腔様構造を有する症例の他、単相性症例や種々の細胞密度で紡錘形細胞が増生する例なども対象とした。電顕的には、上皮様細胞、線維芽細胞様細胞を認め、上皮様細胞ではデスモゾ-ム、基底膜も明らかで、腺腔形成もみられる。免疫組織化学的には、主として上皮様細胞にケラチン、EMAが陽性で、さらに基底膜蛋白laminin、type IVコラ-ゲンが周囲に証明された。又、症例によっては、Sー100蛋白、NSE、デスミン陽性細胞までも散見された。レクチン組織化学ではPNA、UEA1が上皮様細胞に陽性である。以上の所見から、本肉腫は腺癌と肉腫部分よりなる癌肉腫と考えるのが妥当と思われる。肉腫部分が様々な分化傾向を示しているというのも癌肉腫という概念とも一致している。2)非腫瘍性滑膜組織の検索:種々の非腫瘍性滑膜組織いずれにても、1)でみられたような上皮様形態所見、マ-カ-局在及び種々の分化傾向は全く認められない。癌肉腫の基盤となり得る所見は特にみられない。3)実験的肉腫作製による検索:ラット膝関節内DMBA注入による滑膜lining cellの初期変化としては異型的増生、腫大をみるが、上皮様分化の所見は認められない。腫瘤形成時の組織像は、未分化肉腫とするのが妥当なもので、腺癌への分化や、種々の分化を示唆するマ-カ-局在も認められない。種々の検索法で、この傾向は一致している。4)総括的考察:滑膜肉腫は癌及び種々の分化を示し得る肉腫像よりなる癌肉腫として定義づけるべきである。一方、滑膜組織には、上皮様分化をはじめ、種々の分化を示す傾向は全く認められず、滑膜由来の実験的肉腫においても同様である。滑膜肉腫の起源を滑膜に求める根拠は認め難く、多分化能を有する未熟間葉系細胞に求めるのが妥当と考えられる。
|