研究課題/領域番号 |
63570162
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
前田 道之 京都大学, 胸部疾患研究所, 助教授 (20027329)
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研究分担者 |
秋口 一郎 京都大学, 医学部, 講師 (30115779)
石本 秋稔 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (50073127)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1988年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | HTLV-I / HTLV-I関連脊髄症 / HAM / 多発性硬化症 / レトロウイルス構造 / プロウイルスDNAクローニング |
研究概要 |
レトロウイルスがその発症に強く関与している可能性が、最近HTLVーI関連脊髄症(HAM)と多発性硬化症(MS)で示唆されている。本課題では、HTLVーI様レトロウイルスがHAMの原因として必要・十分な條件を満たすことを立証し、更にHTLV-Iのゲノム構造の変化が中枢性神経疾患であるHAMの発症の引き金となっている可能性を検討した。HTLV-I様ウイルスが中枢神経系に感染していることを明らかにするため、HAM患者9名の髄液よりILー2存在下で3株のHTLV-I様プロウイルス陽性のT細胞株を樹立した。中一株(HAM-2C)より調整された高分子DNAより定法に従い、EMBL-4を用いてプロウイルスDNAのクローニングをおこなった。得られた幾つかのクローンの中一つについてヂデオキシ法によりプロウイルスDNAの塩基配例を調べた。得られたクローンDNAはLTRのRU_5およびgag遺伝子の一部からなる760bpの欠損プロウイルスであった。9Kbの大きさをもつHTLV-Iゲノムのわずか10%足らずではあったが、760bpに関しては清木らにより報告されているHTLV-IプロウイルスDNAの塩基配例と99%の相同性を示した。次に、上記の3株のHAM患者髄液由来のT細胞株に組み込まれているHTLV-I様プロウイルスとATL由来のT細胞株のそれとについてプロウイルスDNA構造を比較・検討するため、HTLV-Iゲノム中に複数の切断部位をもつ制限酵素(PstI、HindIII)を用いてサザンブロット解析を行なった。その結果、両者には同一の構造を示すプロウイルスDNAが存在していることが強く示唆された。一方、サザン法、血清抗体価の測定により、16名のHAM患者中14名でプロウイルスの組み込みが末梢血有核細胞中に同定されたが、6名のHTLV-I健康保有者では陰性であった。抗HTLV-I抗体価もHAM患者では有意に高く、HAM患者ではHTLV-Iの感染が強く生じており、HTLV-IそのものがHAMの発症に直接関与している可能性が強く支持された。
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