研究課題/領域番号 |
63570189
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
細菌学
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中村 信一 金沢大学, 医学部, 教授 (90019620)
|
研究分担者 |
山川 清孝 金沢大学, 医学部, 助手 (20110629)
神谷 茂 金沢大学, 医学部, 講師 (10177587)
|
研究期間 (年度) |
1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | Clostridium difficile / 毒素 / 胞子 |
研究概要 |
有毒Clostridium difficile3株(KZ1604、1630、1660)を用いて胞子形成とサイトトキシン(CT)産生の関係を経時的に検討した。対数増殖期に同調した各菌液を10^6倍希釈した後、その0.2mlを10mlの0.2%Na_2PO_4加BHI培地に植菌した(接種菌数:栄養型細胞数、2.6〜4.8×10^1;胞子数、0)。全菌株とも植菌18時間後に総菌数(栄養型細胞数+胞子数)は最高値に達した(3.1〜3.8×10^8/ml) 。一方胞子は18時間後より検出され経時的に増加し、42〜48時間後にプラトーに達した(6.2×10^5〜8.2×10^6/ml)。細胞内CTは胞子形成時期と同時期(培養18時間)より出現し、胞子数の増加と共に増加し、胞子数がプラトーに達する6〜12時間前に最高値に達した(64〜512CU/50μl)。細胞外CTの検出は植菌後24時間よりみられ植菌48時間後に最高値に達した(64〜4096CU/50μl)。これらの結果より、CT産生が胞子形成とほぼ同時期に行われることが明らかとなった。胞子形成とCT産生の関係を更に確かめるため、胞子形成阻害剤アクリジンオレンジ(AO)、プロメサジン(PM)を用いた実験を強毒株KZ1630を用い行った。植菌12時間後にAOを培地に加え(30μg/ml)培養を続けた。AO添加培養における総菌数は対照と差異は認めなかったが、胞子数は植菌48時間後において1.1×10^2/mlにすぎず対照(5.2×10^6/ml)に較べ著明に低下していた。AO添加培養における細胞内CT値は対照の1/4〜1/8にすぎなかった。細胞外CT値はAO添加培養では顕著に減少し植菌36、48、60、72時間後の値は各々8、32 、128、128CU/50μlにすぎなかった(対照:1024、4096、4096、4096CU/50μl)。PM添加培養でも同様の傾向が認められた。これらの結果より胞子形成がCT産生に密接に関与している事が示唆された。光顕的に胞子は認められないがCTを産生する菌株について電顕的観察を行った。これらの菌株では電顕的にも胞子形成過程は認められず、胞子無形成菌におけるCT産生機序は胞子形成菌のそれとは異なる事が示唆された。
|