研究課題/領域番号 |
63570200
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
細菌学
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
川上 正也 北里大学, 医学部, 教授 (50050349)
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研究分担者 |
中村 国衛 北里大学, 医学部, 助教授 (00118829)
猪原 節之介 北里大学, 医学部, 助教授 (90101295)
高橋 明義 北里大学, 医学部, 助手 (10183849)
小野 雅夫 北里大学, 医学部, 講師 (40050645)
久下 周佐 北里大学, 医学部, 助手 (50186376)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1990年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1989年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | タンパク質一次構造 / cDNA / 補体 / 殺菌 / 血清タンパク質 / 腸内細菌 / 系統発生 / リポ多糖体 / 殺菌因子 / 蛋白質構造 / レクチン / 分子生物学 / 蛋白構造 / 遺伝子構造 / 補体Cl / セリンプロテアーゼ |
研究概要 |
私達は、サルモネラなどの腸内細菌の多糖体に結合し、補体を活性化して殺菌する因子が、脊椎動物の血清にあることを見出して、これをRa反応性因子(RaRF)と名づけた。最近の研究によって、RaRFは補体成分C1とレクチンの性質を兼ね備えた血清蛋白であることがわかってきた。すなわち、RaRFは、サルモネラをはじめとする各種の腸内細菌がその細胞表面に共通にもっている多糖体に特異的に結合するレクチンであるが、結合後に、補体の第一成分C1と同じ方式で、補体成分C4およびC2を活性化し、それによって補体カスケ-ドの活性化を引き起こす。マウスのRaRFは3種類以上の蛋白質からなる複合体で、多糖体に結合する成分およびC4/C2を活性化するセリンプロテア-ゼ成分から成っている。このことから、作用のみならず、その構造もC1に似ているといえる。RaRFを構成するポリペプチドの一次構造は、一部のアミノ酸配列およびcDNA塩基配列から判明した。 RaRFの活性は哺乳綱、鳥綱、爬中綱、両棲綱および魚綱に属する代表種の血清に見出され、それらの活性因子は、Ra結合特異性、二価金属イオン要求性、熱および還元剤感受性などの共通性質を具えており、分子量(29ー30万)などの物理化学的性質にも共通点があった。ニワトリのRaRFの構成ポリペプチドの分子量もマウスのものと似ており、免疫学的交差反応もあった。また、ウシガエルの肝臓からは、マウスRaRFのdDNAと塩基配列類似性のあるcDNAが見出された。これらのことから、RaRFは、系統発生の過程で3億年以上もの期間、脊椎動物によって保存されてきたと推定される。そして、これらの事実はRaRFが脊椎動物にとって必須の因子であることを示唆している。
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