研究概要 |
1.Hypoxanthine guanine phosphoribosyltransferase(HGPRT),adenine phosphoribosyltransferase(APRT)欠損症では若年に尿路結石,腎障害を合併するため早期の診断を要するが.血液もしくは尿を附着させた乾燥濾紙を用いて、これらの酵素欠損症が簡單に診断できスクリ-ニングも可能であった。 2.従来、消化液中のプリン代謝酵素活性については全く報告されていなかったが、膵液、胆汁等にプリン体を分解するS'ーnucleotidase,purine nucleosidephosphorylase,xanthine oxidaseが存在することを明らかにした。さらにプリン分解酵素をliposome 封入し.トリに経口投与するとイノシン負荷による血清尿酸値の上昇を防止することを確認した。liposomeプリン分解酵素は高尿酸血症の治療薬になる可能性を示した。 3.HGPRT活性が完全に欠損した我国のLeschーNyhan症候群6例でリンパ球を用いてcell line株を樹立し、これよりDNA,RNAを分離してSouthern blotおよびNorthern blotを行なった。さらに4例ではHGPRTのCーDNAをpolymerase chain seactionにより増幅させ、このDNAの塩素配列を決定した。1例では54番目+ATF(メチオニン)よりCTG(ロイシン)に、1例では179番目がGTT(バリン)からGGT(グリシン),また180番目がGGA(グリシン)がAGA(アルギニン)に1例では747より797までの51のnucleotidesが欠落していた。他の1例では51番のCGA(アルギニン)がTGA(stop codon)に変化していた。以上我国で始めて4例のHGPRT欠損症の突然変異による塩基配列の変化を明らかにした。 4.従来,尿酸産生は核酸の分解、特に赤血球の脱核によるRNAの分解によると推定されていた。しかしメチル化反応によるSーadenosylmethionineの分解により尿酸が産生されることを明らかにした。creatineの産生はguanidinoacetic acidがメチル化をうける。すなわちcreatineと尿酸代謝は密接に関連していることを明らかにした。
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