研究概要 |
1)抗リン脂貭抗体の測定法の確立とSLEの臨床病態との関連 EL1SA法による抗カルジオリピン抗体(2CL)とル-プス抗凝固因子(LAC)の測定法を確立した。2CLは、Immuloneー2にCL100μg/mlエタノ-ル溶液の50μl/wallをコ-テングし、ブロックは10%FCSーPBSを用い、被検血清を50倍希釈50μl/wellとして反応させ、IgG,A,Mクラスの抗体を測定した。LACは、カオリンによる1/5希釈部分トロンボプラスチン時間(1/5KPTT)が最も有用で、cut off pointは1.20とした。IgG2CLは、血栓症,自然流・死産などの臨床病態やLAC,血小板減少などの検査成績と有意の相関を示した。LAC陽性例は、全例IgG2CL陽性であった。 2)抗リン脂貭抗体吸着体開発における基礎的検討 リン脂貭構成単位に着目し、リン酸エステルやアミノ酸等の化合物と抗リン脂貭抗体の親和性を比較し、吸着体としての有用性を検討した。さらに、負荷電のみの担体でも同抗体を選択的に吸着しうることが判り、臨床応用可能なデキストラン硫酸吸着体を選ぶことができた。この吸着体は、抗DNA抗体も吸着できる利点であった。 3)デキストラン硫酸吸着カラムを用いた臨床応用 抗リン脂貭抗体ないし抗DNA抗体陽性SLE患者についてデキストラン硫酸吸着体を用いた血線交換(DSーPP)を週1〜2回,4週継続施行し、抗体価の変動と臨床像の椎移を観察した。その結果、IgG2CL,IgG抗dsDNA,IgG/IgM抗ssPNA抗体価の著減とともに皮疹,関節痛などの改善を認めた。また、3回の流死産をくりかえした2CL、LAC陽性SLE患者の4回目の妊娠で、DSーPPを24回反後施行し、無事出産しえた症例を経験した。
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