研究概要 |
種々の刺激によってクッパー細胞から放出されるモノカインの一つであるインターロイキン1(以下ILー1)が、肝細胞機能の一つである薬物代謝能に与える影響を検討した。Invivo study:pilot studyとして0.04,0.4,4μg/100gBWのILー1をラットの腹腔内に投与し、12時間後に肝ミクロソーム分画中のチトクロームPー450(以下Pー450)を測定したところ、高用量でPー450の減少を認めたため、以下の実験には0.4を使用した。0.4μg/100gBWのILー1をラットに投与し18時間後に屠殺し、血液生化学・補体を測定するとともに、肝薬物代謝酵素としてPー450,b_5,NADPHーdependent cytochrome c reductase(cyt c red)、aniline hydroxylase(AH)、aminopyrine demethylase(AD)活性を測定した。IL-1投与によってラットの外見上及び行動上の異常は見られなかった。IL-1投与によって体重は若干減少したが肝重量には差がなかった。血清総蛋白・アルブミン・総ビリルビン・GOT・GPT・LDHに有意差は見られなかったが、A1ーPは有意に上昇しTG・βリポ蛋白は有意に低上した。Pー450・b_5・cyt c red・AH・AD活性はILー1投与群においてそれぞれ20・12・20・40・22%の活性低下を認めた。In vitro study:ラット肝細胞を初代培養し、0・4・20・100・500u/mlのILー1を添加し14時間培養後、肝細胞をシャーレより剥がし肝細胞内のPー450を測定した。Pー450は濃度依存性に減少した。 以上のことから、ILー1がクッパー細胞を含む単球系細胞より分泌される病態下にあっては肝薬物代謝能が低下することが判明した。
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