研究概要 |
1.ヒト気管支肺胞洗浄液中肥満細胞の培養に対するT細胞因子,インタ-ロイキン(IL)ー3,ILー4,線維芽細胞の効果をみたところ,これら因子によるsurvivalの延長が認められ,線維芽細胞共存ではphenoーtypic changeも一部の例でみられた。 2.ヒト好塩基球性白血病細胞株KU812Fを用いてヒスタミン合成酵素ヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)の誘導,部分精製,cDNAクロ-ニングを行なった。HDCはphorbol myristate Acetate(PMD)で誘導され,大量培養により62nmol/minの活性をもつHDC蛋白961mg得られた。5段階のカラム操作で350倍の精製標品が得られ,PAGEで分子量110kdと判明しラットのHDCと同様の値であった。報告されたラットのcDNAをもとにprobeを作成し,KU812FのcDNAlibraryをスクリ-ニングしたところpTNー1とpTNー2の2つのクロ-ンが得られ,誘導実験でpTNー2の方ら活性が認められた。pTNー2は2.4K base painで塩基配列よりヒトHDCはアミノ酸662よりなる分子量74,178の蛋白でラットとマウスとは85%の相同性があった。KU812FのNorthern analysisにより活性の誘導はtranslationのレベルで起る事が分った。 3.ラット好塩基性白血病細胞株RBLー2H3,ラットおよびヒト切除肺を用いて腫瘍壊死因子(TNF)の産生および遺伝子発現を検討した。抗原(Ovalbumin,DNP,抗IgE)でIgE受容体を刺激すると1〜2時間後にヒスタミン,TNEαの産生およびTNEmRNAの発現が認められた。マウス肥満細胞腫P815はPMA刺激でのみTNF産生がみられ,KU812FではPMAおよびCaイオノフォア刺激ILー1の産生が認められたがTNF産生は認められなかった。 以上,培養細胞および肺組織を用いてアレルギ-性呼吸器疾患における肥満細胞および各種サイトカインの後割を追求していく方針である。
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