研究課題/領域番号 |
63570354
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
山口 佳寿博 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30129712)
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研究分担者 |
黒田 道郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00161802)
岡田 泰昌 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80160688)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 血流短絡 / 解剖学的死腔 / 肺胞死腔 / 間質性肺炎 / 慢性閉塞性肺疾患 / ガス交換 / 細気管支炎 / 血流再分布 |
研究概要 |
肺内解剖学的死腔と肺胞死腔とを分離定量評価する方法を開発した。更に肺内右→左短絡量を求める新たな方法を確立した。これらを間質性肺疾患(16例)、慢性閉塞性肺疾患(9例)に適用しその病態生理の解明を試みた。1.間質性肺疾患(IPF)では肺内右→左短絡率の有意の上昇(4.4%)が認められた。全死腔率は平均44.0%であり解剖学的死腔、肺胞死腔の全死腔に対する割合は各々89.0%、11.0%であった。肺胞死腔率は間質性肺炎が進行した例でより高値を呈する傾向を示した。2.慢性閉塞肺疾患のうち典型的肺気腫(type A)では有意な肺内右→左短絡は検出できなかった。一方慢性気管支炎(type B)の定義を満たす症例では平均5.8%の右→左短絡率が認められた。全死腔率はtype Aとtype Bで有意の差はなく平均値として42.2%が得られた。解剖学的死腔、肺胞死腔の全死腔に対する割合にもtype Aとtype B間に有意差はなく解剖学的死腔は全死腔の73.2%、肺胞死腔は26.8%を占めた。3.以上の結果より間質性肺炎のガス交換上の特徴は右→左短絡量の増大でありこれは間質の線維化に伴い肺胞腔の狭小化が発生し換気のないガス交換領域が増加したためと考察される。間質性肺炎進行例で肺胞死腔率が高値を呈した事実は上記の機構により増加した右→左短絡血流が比較的正常構造が保たれている肺内の他の部位へ再分布するためと考えることができる。4.慢性閉塞性肺疾患の特徴は肺胞死腔率の有意の上昇である。これは肺胞壁の破壊に伴う気腫化現象を示す生理学的所見と考えることができる。慢性閉塞性肺疾患にあってtype Aとtype Bの差は右→左短絡量に認められtype Bでは右→左短絡量が高値を呈した。この事実はtype Bの中心的病変と思われる細気管支病変に伴う末梢気道閉塞を検出した所見と解釈される。5.死腔、血流短絡に関する定量評価法を確立した。本法を慢性肺疾患例に管適用しそれぞれの疾患における病態生理学的特徴を明らかにし得た。
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