研究課題/領域番号 |
63570357
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩崎 祐三 (岩崎 裕三) 東北大学, 医学部, 教授 (00142927)
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研究分担者 |
塚本 哲朗 (塚本 哲郎) 福島県立医科大学, 講師 (20171978)
今野 秀彦 東北大学, 医学部, 助教授 (10091688)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1989年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1988年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | HTLVーI / レトロウイルス / 脱髄 / サイトカイン / HTLV-I |
研究概要 |
HTLVーI associated myelopathy(HAM)の発症にはHTLVーI感染リンパ球の産生する組織障害因子が関与するのではないかと考え、その組織障害因子の検索のため、HTLVーI感染リンパ球株(MTー2、他5株)の神経組織培養および動物への作用そ検討した。結果:1)MTー2以外のリンパ球株の培養上清ではヒト神経芽腫細胞株(IMRー32)に変化を認めなかった。2)MTー2の上清を加えた培養液で毎日液換えをした場合、IMRー32では培養3日目ごろから著明な細胞変性効果が認められた。3)MTー2の上清により顕著な形態変化を認めるにもかかわらず、増殖抑制は軽度であった。4)MTー2の上清を80℃、60分の加熱処理してリンホトキシンを不活化してもこの活性は不活化されなかったこと、リンホトキシンと類似の生理活性を持つαーTNFでは同様の変化を認めないこと、抗HTLVーI抗体によるウイルス蛋白の中和で活性を失わなかったことより、この上清中の液性障害因子として、リンホトキシンやウイルス蛋白以外の未知の活性物質の存在が想定された。5)MTー2の上清によりIMRー32の他のヒト神経芽腫細胞株(2株)、ヒト神経膠腫細胞株(2株)で軽度の形態変化を認め、上清の加熱処理で活性は失われ、αーTNFで同様の変化を認めたことより、上清中のリンホトキシンの関与が推測された。6)MTー2の上清によりマウス髄鞘形成性小脳組織培養に対する髄鞘障害性は認められなかった。7)感染リンパ球株およびαーTNFをマウスおよびラットの脳内に接種しその組織標本を検討したが、特異的変化を検出することに成功していない。以上の結果は、HTLVーI感染リンパ細胞で産生される液性因子が神経組織に対して障害を引き起こす可能性のあることを示唆している。今後、その障害因子の抽出と生体内での意義について検討が必要である。
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