研究課題/領域番号 |
63570366
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
田口 博國 高知医科大学, 医学部, 助教授 (20033350)
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研究分担者 |
広瀬 詔三 高知医科大学, 医学部 (70181203)
藤下 雅敏 高知医科大学, 医学部, 助手 (40156857)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | HTLVーI associated myelopathy / HAM患者由来細胞株 / 動物実験モデル |
研究概要 |
2名のHAM患者脳脊髄液単核細胞と健常人リンパ球を混合培養しウイルス産生細胞株CNS1およびCNS2を樹立した。これらの細胞にくみこまれたHTLVーIプロウイルスゲノムのDNAをECORI、PstIで切断しSoutern blotによりATL由来の細胞株中のプロウイルスゲノムと比較しほとんど同一のウイルスであることを証明した。神経系細胞株GOTOおよびBeckerと10,000rad照射したCNS1、CNS2との混合培養を続けているがいまだ明確な感染は証明されていない(間接蛍光抗体法および電子顕微鏡)が今後も何度か繰返す予定である。HAM患者の脳脊髄液からのウイルス産生細胞株の樹立はその後も3例の患者で成功した。ウサギの脳脊髄腔内へのCNS1、CNS2の接種は3匹のウサギで試みたがHAM様の神経症状は出現しなかった。そこでこの方法ではHAMのモデル動物の作製は困難であると考え、すでにウサギ由来細胞株Raー1の注射によってHTLVーIを感染させたウサギから血液をとりリンパ球を分離してPHAを加え1週間培養してウイルスを発現させ、それをもとのウサギに注射してやるという方法でHAM類似の神経症状を発現させることができるかどうかを試みている。またHTLVーI感染ウサギ3匹に週2回PHAの皮下注射を行って自己のリンパを刺激しウイルスを発現させ、それに対するcytotoxic Tーcellの活性が増強して神経細胞を障害するという仮説の証明を試みているがいまだ成功していない。我々は49歳男で記憶障害、言語障害、失調性歩行を有し、前頭葉、側頭葉の委縮と脳室拡大を認め、抗HTLVーI抗体陽性であった1例を経験し、脳脊髄液からHTLVーIウイルスをリンパ球の培養により検出することに成功した。これはHTLVーIによる神経障害が脳でもみられることを示す最初の例である。
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