研究概要 |
慢性肉芽腫症患者末消血細胞の,酸素活性化能とそれに関与する構成成分-特にシトクロムb_<558>-微量測定を可能にした。後者については,特にこのシトクロムの小鎖に細胞外から結合するモノクローナル抗体を用いてフローサイトメトリーを行ない,多くの成果を得た。 基礎的成果としては, 1.シトクロムb_<558>は,大鎖・小鎖から成り,そのいづれかが遺伝的に欠除すると,いづれも安定して存在しえない(文献1) 2.シトクロムb_<558>の小鎖,分子量約2万であるが,その一部を細胞表面に表出した(文献2)膜貫通性蛋白である(昭和63年生化学会大会発表,文献1)。 3.シトクロムb_<558>は,食細胞だけでなく,ヒト末消Bリンパ球表面にも存在し,その役割は今後注目すべき問題である(文献3,4) 臨床的成果としては, 4.末消全血を用いた簡便なフローサイトメトリー的慢性肉芽腫症の診断を可能にした(文献5)。 5.上記4の方法を単球分画に応用し,細胞表面シトクロムb_<558>を定量的に測定できるようにした。その結果バリアント型の検出,極端な保因者の検出が可能となった(文献6)。 6.生化的検索や免疫細胞化学的手法でもその亜型を明確にしてなかった症例を発見した(文献7)。 7.日本には確実な報告のない症例である常染色体劣性型シトクロム欠損型の慢性肉芽腫症を免疫細胞化学的に同定できた(文献2)。 今後は,DNA診断を含むより明確な診断法と,これに基づいた根治療法の確立が求められている。
|