研究分担者 |
渕上 達夫 日本大学, 医学部小児科, 助手 (60201753)
岡田 知雄 日本大学, 医学部小児科, 講師 (50177052)
梁 茂雄 沼津市立病院小児科, 部長
西村 佐智子 日本大学, 医学部・小児科, 助手
戸田 顕彦 日本大学, 医学部・小児科, 助手
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研究概要 |
1.小児肥満と運動について (1)いわば静的運動負荷としての十分間起立負荷テスト成績:6〜15歳の男児20名について,肥満度+30%以上の男児10名と,肥満度+20%未満の男児10名とのコントロ-ルスタディを行った。安静時においては肥満度+30%以上の肥満群の方が血圧,血中ノルアドレナリン,遊離脂肪酸は有意に高値を示し,起立負荷後にては非肥満群にて血中アドレナリン,血漿レニン活性を除く血圧,脈拍数,血中ノルアドレナリンおよび遊離脂肪酸は有意に増加を示したが,対照的に肥満群においては脈拍数を除いた以上の内の指標は有意な増加を示さなかった。以上の結果は,学童期の肥満男児は,安静時に交感神経系の緊張が強く,ストレス時における,交感神経応答が低下していると考えられ,交感神経系の応答障害と脂肪酸動員の低下が学童肥満の発症や悪化に関与すると推定された。 (2)動的運動負荷としてのトレッドミル負荷の運動心肺機能成績: 5〜16歳の肥満度+50%以上の高度肥満の学童13例を対象に検討した。この結果,肥満群では負荷開始早期から酸素摂取量の急激な増加があり,対照群より早期に嫌気性代謝域値に到達した。動的運動能力の低下は肥満の悪化と伴に成人病への進行を招来すると考えられ,学童肥満における身体的活動の重要性をさらに強調する結果を示した。 2.小児肥満における精神心理学的研究:対象は6〜16歳の外来で経過をみている肥満46名と韓国ソウル市の同年齢の肥満22名である。YーG検査では,わが国の場合全体としてC(36%),A(23%)と多く,年長児に不安定不適応消極型のEが増加する傾向を示し女児にB,D型が多い傾向を認めた。韓国の場合には,全体にB,Cが多く女児にB,Eが多かった。情緒面ではわが国の場合肥満発症からの期間の長さや肥満の程度との関連が,韓国とは異なって認められた。
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