研究課題/領域番号 |
63570465
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
皮膚科学
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
三橋 善比古 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (30157557)
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研究分担者 |
沢村 大輔 弘前大学, 医学部, 助手 (60196334)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1990年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1989年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1988年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 7型コラ-ゲン / anchoring fibril / 先天性表皮水疱症 / 免疫組織学 / 電顕 / 2相分離細胞培養法 / コラゲナ-ゼ / ストロメライシン / 二相分離培養法 / 7型コラーゲン / 皮膚 / 線維芽細胞 / インムノブロット |
研究概要 |
7型コラ-ゲンはanchoring fibril(AF)の主要構成蛋白であり、栄養障害型先天性表皮水疱症(EBD)では、表水基底膜部における7型コラ-ゲンが減弱あるいは欠損しているために水疱を生じると推測されている そこで、EBDの発症機序、および、7型コラ-ゲンの生成と生体における役割を知るために以下の検索を行った。(1)これまでの報告はすべて欧米からのものであり、本邦人についての検索は行われていなかった。そこで本邦健康人5例と、EBD5例について、7型コラ-ゲンのC末端とコラ-ゲン部分の2つのエピト-プについての抗体を用いて免疫組織学的に検討した。その結果は、健常人では表皮基底膜部に線状強陽性で、優性型EBDの1例も同様であったが、劣性型EBDの4例では、陽性1例、弱陽性2例、陰性1例とさまざまの程度に減弱していた。2つのエピト-プの減弱の程度は、同一症例ではほぼ同様であった。これらのEBD患者の、真皮線維芽細胞のcollagenaseおよびstromelysinのmRNAの発現程度をNorthern blott法で検索し、7型コラ-ゲンの発現程度と比較したところ、collagenaseとstromelysinは同一症例ではほぼ同程度に発現し、7型コラ-ゲンと両mRNAの発現程度は逆の相関を示した。以上の結果は、これらの蛋白分解酵素が7型コラ-ゲンの減弱に関与していることを示唆する所見であった。しかし、両エピト-プをそれぞれの抗体を用いて検索した結果は、同一症例では同程度の減弱を示し、C末瑞が陰性の症例もあった。このことは、逆に、蛋白分解酵素の消化作用よりも先天性形成不全説を支持する結果と思われる。今回の検索は対象例数が少なく、結論を出すにはさらに症例を増して同様の検索を行うことが必要である。(2)EBDの疾患モデルを探求する目的で、表皮襄腫壁の基底膜部を免疫組織学的および電顕的に検索したが、7型コラ-ゲンおよびAFは健常表皮基底膜部とほぼ同様で、モデルにはならないことが判明した。(3)AFの形成過程を知るために、健常表皮の器官培養実験を行い、dermalーepibolic junctionの7型コラ-ゲンおよびAFを免疫組織学的およびに電顕的に検索した。その結果、AFが形成される以前にすでに7型コラ-ゲンはlamina densa下に分泌されており、これが電顕的に無構造物質として認められると推測した。しかし、結論を得るにはさらに免疫電顕法による検索が必要である。(4)本研究期間中に開発した、2相分離細胞培養法によってAFの形成実験を行ったが、AFを形成するに至らなかった。(3)の実験結果との比較で、AFの形成には、lamina densaが先に形成されていることと、適当な真皮基質が必要と考えられてきた。
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