研究概要 |
尋常性白斑発症機序におけるメラノサイト細胞環境因子として、1.Interleukinーl(ILー1)、2.ラングルハンス細胞(LC)、3.メラノサイト増殖因子(MGF)、4.色素拡大現象、5.メラニン生成機構の解明について研究を行った。1.PUVAと外用ステロイド療法著効の白斑病巣ではILー1活性は低下せず、無効群の多くはILー1活性の低下がみられることを見いだした(Horikawa,Mishimaら、J Invest Dermatol 92:447 1989)。2.PUVAと外用ステロイド治療に低抗性の白斑病巣では、HLAーDR,OKT6,ATPase陽性の治療抵抗性LCの増加を見いだした(Jimbo,Mish ima,J Invest Dermatol,92:453,1989)。治療抵抗性LCの増加は白斑の表皮移植療法の治療効果を低下させることを報告した(神保、三島、日皮会誌、99:307、1989)。3.培養メラノサイトを用いたbioassayによってヒト正常皮膚にメラノサイト増殖因子が存在することを見いだした。この因子はヘパリン新和性があり、抗bFGF抗体にて抑制されることを明らかにした(堀川、三島ら、第5回日本色素細胞学会総会、福岡、12月8ー9日、1989、要旨集p15)。4.白斑病巣の表皮移殖治療後、分節型では色素拡大が著明にみとめられるが、汎発型では必ずしも見られず、両型の病因は異なることを示唆した(荒木、三島ら、第297回日皮会大阪地方会、大阪、2月17日、要旨集p4,1990)。また限局性白皮症患者では確実に色素拡大が見られることを発表した(西野、三島ら、皮膚、31:491、1989)。限局性白皮症病変部にdopa陽性メラノサイトが存在し、治療により色素新生が見られることを見いだした(Hayashibe,Mishima,Arch Dcr matol,124:381ー386、1988)。5.coated vesicleとpremelanosome内にすでにメラニンモノマ-が存在していることを報告し(Hatta,Mishimaら、J Invest Dermatol,91:181ー184)、coated vesicle内にメラニンポリマ-合成を制御する因子が存在することを見いだした(Charkraborty,Mishimaら、J Invest Dermatol,93:616ー620,1989)。
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