研究課題/領域番号 |
63570495
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線科学
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
寺田 正樹 (1989) 和歌山県立医科大学, 医学部放射線科, 助手 (80188680)
前田 美保 (1988) 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (90190313)
|
研究分担者 |
中谷 和郎 和歌山県立医大学, 医学部放射線科, 助手 (80207810)
佐藤 守男 和歌山県立医大学, 医学部放射線科, 講師 (50154109)
山田 龍作 和歌山県立医大学, 医学部放射線科, 教授 (90047085)
川端 衛 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (50073789)
寺田 正樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (80188680)
浜地 順子 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (10172983)
|
研究期間 (年度) |
1988 – 1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1989年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1988年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | 肝細胞癌 / 肝動脈塞栓術 / リピオド-ル / ゼラチンスポンジ / 塞栓物質 / リピオドール |
研究概要 |
肝細胞癌に対する塞栓物質として、最近臨床応用されているリピオド-ルとゼラチンスポンジ併用の肝に及ぼす影響を検討するため、イヌを用いて基礎的検討を行なった。本年度は摘出肝の組織学的検討を行った。(1)ゼラチンスポンジ単独群では、注入1〜2週後で50〜500μmの肝動脈板に認められ、4週後では血管の内膜肥厚内に包まれた形状で吸収されていた。肉眼的にも組織学的にも肝には異常は認められなかった。(2)リピオド-ル単独群の注入では、リピオド-ル量0.1ml/kg1頭、0.2ml/kg1頭、0.5ml/kg1頭、1ml/kg1頭、2ml/kg1頭、3ml/kg1頭、4ml/kg1頭、5ml/kg2頭で検討した。組織学的にリピオド-ルは、HE染色で空泡として存在し、脂肪染色で赤染された。0.1ml/kg、0.2ml/kgの量では、リピオド-ルは主に類洞に認められた。0.5ml/kg以上では、リピオド-ルは類洞のみならず門脈に認められた。3〜4週後の検討でリピオド-ルそれ自体が毒性として作用する証拠は認められなかった。しかし、0.5ml/kg以上では、リピオド-ルは、類洞内にその周囲の肝細胞を圧排、変性させるように存在しており、物理的障害が示唆された。4ml/kg、5ml/kg量では肝は浮腫、うっ血1、心不全により死亡したものと考えられる。(3)リピオド-ルとゼラチンスポンジの併用では、リピオド-ル量0.2ml/kg以上併用群全例に肝に梗塞巣がみられ、組織学的に凝固壊死の像を呈していた。0.1ml/kg量でも5頭中1頭に凝固壊死がみられた。梗塞(凝固壊死)巣の拡がりは、併用リピオド-ル量の増加に伴い、拡大していた、以上の結果より(1)ゼラチンスポンジは安全な塞栓物質である。(2)リピオド-ルはそれ自体、肝に毒性を与えないが、極端に増量させると肺浮腫から心不全に陥る。(3)リピオド-ルとゼラチンスポンジの併用は、必ずしも安全な塞栓物質の組み合わせとはいえず、併用するならリピオド-ル量は0.1ml/kg以下に制限すべきであると考えられる。
|