研究課題/領域番号 |
63570500
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
十束 支朗 (十束 志朗) 山形大学, 医学部・精神神経医学講座, 教授 (80009133)
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研究分担者 |
川勝 忍 山形大学, 医学部付属病院・精神神経科, 助手 (00211178)
森信 繁 (森 信繁 / 森信 滋) 山形大学, 医学部・精神神経医学講座, 助手 (30191042)
川 勝忍 山形大学, 医学部付属病院・精神神経科, 助手
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1988年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | アルツハイマ-型痴呆 / フィゾスチグミン / 脳血流量 / 5-HIAA濃度 / イノシト-ル燐酸代謝 / 脳波パワ-値 / HVA濃度 / アセチルコリンエステレ-ス活性 / アルツハイマー型老年痴呆 / アルツハイマー病 / 局所脳血流量 / アセチルコリンエステレース / 脳波パワースペクトル / フォスファチシルハイノシトール / カルバコール |
研究概要 |
アルツハイマ-型痴呆(AD)症例47例において、SPECTによる脳血流検査を施行し、脳血流分布パタ-ンに基ずいた分類を行い、各群における髄液モノアミン代謝産物濃度・脳波パワ-スペクトルを測定した。その結果、AD群は両側側頭葉低下群(I)・左側頭葉低下群(II)・両側前頭側頭頭頂葉低下群(III)・正常群(IV)に分けられた。髄液代謝産物濃度との関連では、I群にてアセチルコリンエステレ-ス(AchE)活性・HVA濃度・5-HIAA濃度すべてに低下が見られたのに対して、IV群では5-HIAA濃度の低下のみが著明であった。脳波検査結果では、I群にてα波の減少と中心部から前頭部にかけての徐波化が、III群では著明な全般徐波化が、IV群では低振幅速波を主体とした所見が、それぞれみられた。この症例の中から10症例(中等症4例・重症6例、I群8例・II群1例・III群1例)を選び、経口フィゾスチグミン投与(10-15mg/day,14日間)を施行した。結果としては、8症例において軽度の前頭・側頭葉の脳血流改善が得られたものの、知的機能や脳波パワ-値の改善は得られなかった。血流改善の見られた症例はI群に入る症例であり、6例は重症例であった。ラット大脳皮質内後シナプス性ムスカリン(M)受容体を介したイノシト-ル燐脂質(PI)代謝の加齢による変化の研究では、加齢に応じて脳内PI代謝が低下する傾向を得た。この結果は、加齢による後シナプス性M受容体の変化は軽度であり、Ach系の機能低下は前シナプス部の変化による可能性を示唆していた。以上の結果を総合すると、ADでは前シナプス部を中心としたアセチルコリン神経系の機能低下を根底に、ドパミン系・セロトニン系の低下もあるため、フィゾスチグミン治療のみでは軽度の効果は得られるものの十分とは言えず、今後はフィゾスチグミンによる賦活を中心に他のモノアミン系への賦活も含めた総合的補充治療を試みるべきと思われる。
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