研究分担者 |
平山 栄一 大阪市立大学, 医学部, 助手 (40199104)
撫井 弘二 大阪市立大学, 医学部, 助手 (20219835)
古塚 大介 大阪市立大学, 医学部, 助手 (70199438)
大西 博 大阪市立大学, 医学部, 講師 (70094464)
山上 栄 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (20047004)
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研究概要 |
Elマウスの大脳半球、間脳、視床、橋一延髄、小脳の4部位より得たpolysomeからmRNAを分離した。mRNAを〔^<35>S〕-methionineを含むrabbit reticulocyte lypateの系に加え、incubateした。反応終了後、翻訳蛋白質を二次元電気泳動で分離し、Fluorographを行った。約20種の翻訳蛋白質が認められたが、actin,tubbin α,α_2,βおよびprotein e,q,s,v,5,p,k,iなどがみられた。Elマウス小脳のprotein Pだけが他部位に比べて多く、ddYマウスより少なかった。Elマウスの発作前後における全脳mRNAの翻訳蛋白質を間歇期と比較すると、発作直後において24Kのptotein Pのラベルは有意な減少を示した。しかし、発作後30分では間歇期のレベルまで回復した。このことはprotein Pの合成を調節するmRNAが発作の誘発に関与することを示唆している。 Synaptosome膜のCa^<2+>-calmodulin依存性リン酸化反応をElマウスの大脳皮質、中隔野、線條体、海馬、扁桃核、視床と視床下部および小脳の7部位について調べた。基質蛋白質は、autoradiogramで解析すると、分子量200kdのband I,50〜150kdのband II,その中100kdと60kdのband IIaとIIbおよび10〜20kdのband IIIとに分けられた。Elマウス大脳皮質のband I,海馬のband IIでddYに比べてリン酸化反応の有意な促進がみられた。逆に、扁桃核のband I,band IIb,band IIIおよび海馬のband IIIでは有意な低下が観察され、ElマウスにおけるCa^<2+>-calmodulin kinase II活性の促進あるいは抑制を意味している。発作の発現がElマウスでは海馬や扁桃核で始まるというこれまでの報告をあわせて考えると、Ca^<2+>-calmodulin kinase IIの自己リン酸化によりリン酸活性に変化が起り、この変化が脳の各部位に波及して行くものと予想される。今後これまでに述べたprotein Pやcalmodulin kinase IIをcodeするmRNAのゲノムをクロ-ニングすることによって、Elマウスの遺伝的発作感受性がより明らかになるものと期待される。
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