研究概要 |
インスン作用は膜表面の受容体に結合後,糖輸送の促進としてあらわれるばかりでなく,核に作用して特定のmRNAの転写に関与している。我々はどのようなmRNAが増減するかを次の様な方法で検索した。 (結果)(1)in vitro翻訳産物による評価:ラット肝癌細胞H35をインスリン添加前,インスリン10^<-7>M添加後よりmRNAを調製し,ウサギreticulocyte lysateを用いて翻訳産物を作成,二次元に展開して比較した。約1%にあたるスポットが変動を示した。 (2)インスリンに反応するmRNAのcDNA単離:インスリン刺激後のmRNAよりcDNAライブラリーを作成し,前,後のmRNAよりプローブを作成して反応させ,シグナルの変化するクローンを選びだした。 (3)単離クローンによるRNA定量: 得られたクローンのインサートをプローブにしてH35のmRNAを定量してみると,それぞれ予想された増加又は減少を示した。 図にその例を示す (4)単離クローンの一次構造 インサートをプラスミドに結合して塩基配列を決定して既知の配列と比較すると#479はフェリチンと高い相同性を示し,#448はメタロチオネインと相同性を示した。他は有意な類似はなかった。 (結論) 得られたクローンの中にインスリン作用に重要な役割を持つものが存在する可能性がある。
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