研究課題/領域番号 |
63570542
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
石川 三衛 自治医科大学, 医学部, 講師 (70112620)
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研究分担者 |
斉藤 寿一 自治医科大学, 医学部, 教授 (10048994)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | バゾプレシン / 腎乳頭部集合尿細管細胞 / サイクリックAMP(cAMP) / 細胞内遊離Ca濃度 / 細胞内Caプール / 細胞内Ca流入 / ナトリウム・カルシウム交換 |
研究概要 |
抗利尿ホルモンであるバゾプレシン(AVP)は、腎集合尿細管においてcyclicAMPを細胞内情報伝達物質として水の透過性を亢進させる。このAVPによるadenylate cyclase活性化には、Ca・calmodulinが必須であることが示唆されているが、ホルモン作用時の細胞内Ca動態の調節機序はまだ明らかでない。私たちは、ラット腎乳頭部集合尿細管細胞の培養系において、以下の諸点を明らかにした。AVPは細胞内遊離Ca濃度[Ca^<2+>]iを用量依存性に有意に増加させた。この作用はV_2拮抗剤で完全に阻害されるが、V_1拮抗剤では阻害されず、またV_2アゴニストの1ーdeamino-8-D-arginine vasopressin(dDAVP)でも[Ca^<2+>]iの増加反応は認められた。しかし、dibutyryl cAMPやcatalytic unitを直接刺激するforskdinでは[Ca^<2+>]iの増加反応は発現しなかった。またAVPによる[Ca^<2+>]iの増加は急性相と持続相の2相性の反応であった。急性相の[Ca^<2+>]iの増加は、Ca除去培地(1mMEGTA加)やCa膜ブロッカーであるverapamil、nifedipineやcobalt処置下でも発現したが、増加の絶対量は有意に減少した。またAVPは^<45>Ca influxも観察した20分間にわたり有意に増加させた。Na^+、K^+ーATPase阻害剤ouabainや膜の脱分極を誘発するveratridineや60mMKClはAVPによるcAMP産生を増強させた。これら3剤による増強作用は、Ca除去培地やCa膜ブロッカーの併用により完全に阻害された。[Ca^<2+>]iは、ouabain、veratridineまたは60mMKCl処置により、基礎値92.2±8.0nMから60分後約1.5倍に増加した。このような[Ca^<2+>]iの増加反応もCa除去培地またはCa膜ブロッカー処置により消失した。これらの成績より、AVPは腎乳頭部集合尿細管細胞においてV_2レセプターを介してcAMPと共に[Ca^<2+>]iを増加させること、[Ca^<2+>]iの増加はAVPによるcAMP産生を増強すること、またこの[Ca^<2+>]iの変化は主に細胞外液Caに由来することが示唆される。その後の私たちの研究より、過剰な[Ca^<2+>]i自体は逆にAVPによるcAMP産生を抑制することが明らかとなり、AVP作用発現に対する[Ca^<2+>]iには至適濃度の存在が想定される。
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