研究課題/領域番号 |
63570545
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
阿部 好文 北里大学, 医学部, 講師 (30124928)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1989年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1988年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 甲状腺癌 / ras癌遺伝子 / GTP結合蛋白 / 癌遺伝子 / トランスメンブレンコントロ-ル / 細胞内カルシウム / トランスメンブレンコントロール |
研究概要 |
手術で摘出されたヒト甲状腺癌と周囲正常組織および、その組織より作成した初代細胞培養系を用いて癌細胞と正常細胞の機能の比較、とくにTSH刺激下における種々の細胞応答を観察し、ヒト甲状腺細胞における癌遺伝子産物ラスp21の機能と甲状腺の癌化におけるその変化を検討した。 1.すべてのヒト甲状腺組織でラス遺伝子蛋白p21は細胞膜に存在し、ウエスタンプロット法で測定すると、抗p21抗体の反応するバンドはすべて同一の位置でラスp21の構造の異常は存在しなかった。 2.甲状腺分化癌の約半数において周囲正常甲状腺と比較して腫瘍部でのラスp21の増加をみとめ、この増加はラスp21遺伝子mRNAの増加を伴った。未分化癌においてはラスp21の増加をみとめなかった。 3.免疫組織化学的検討ではラスp21は非腫瘍部の濾胞上皮ではとくに背の高い上皮に染色され、腫瘍周囲にとくに染色された。また低分化癌より高分化癌の乳頭状に増殖している部位がよく染色された。 4.ラスp21の増加している腫瘍では細胞膜のアデニル酸シクラ-ゼのTSHに対する反応性が増加しており、その増加の程度を腫瘍部位と正常部位の比でみるとp21の増加の程度と比例した。癌細胞膜のGiの量をADPリボシル化法で測定すると、p21量の増加を認める腫瘍では腫瘍部でのGiの減少が認められ、p21量が増加しているほど、ADPリボシル化されるGi量は減少していた。 5.活性型ラス遺伝子とネオマイシン耐性遺伝子を同時に正常甲状腺細胞に導入し、活性型ラス遺伝子導入細胞を選択するとその細胞は突起が減少し、核が明瞭となり、腫瘍細胞と類似した形態となった。 以上の結果より甲状腺腫瘍細胞の機能異常にはラス遺伝子の変化が関与している可能性が示された。
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