研究概要 |
ヒト甲状腺癌cDNAライブラリ-を組込んだλgt11バクテリアファ-ジを大腸菌(Y1090)に感染させ,抗TSH受容体モノクロ-ナル抗体、バセドウ病患者血清を用いて反応するクロ-ン採助した。これらは1020ないし1900bpで、いずれもEco RI siteを有していた。サザンブダイズし,同じメッセ-ジに由来すると考えられた。 クロ-ニングしたλgt11ファ-ジを大腸菌Y1089に感染させ、ライソゲンを作成、これを用いて融合蛋白を産生した。分子量は126〜132kDであった。これら融合蛋白と、正常人,橋本病,バセドウ病および特発性甲状腺機能低下症の患者血清との反応をウェスタンブロット法で検討した。その結果、バセドウ病および特発性甲状腺機能低下症患者血清では正常人および橋本病患者血清で認められなかった融合蛋白と一致するバントが認められた。これらのcDNAをM13ファ-ジに挿入後,dideoxy法を用いて塩基配列を解析した。この塩基配列と現有までに一次構造が明らかになっている蛋白との相同性を検索したところ,ハムスタ-のelongation factor2(EFー2)との間に高い相同性があった。 TSH受容体cDNAがクロ-ニングされなかった理由として、cDNAライブラリ-が2kbの大きさしかなく,oligo dTをprimerとしたためと考えられた。そこで,正常人甲状腺組織のmRNAより,random primer法により作成したcDNAライブラリ-より,抗TSH受容体抗体モノクロ-ナル抗体を用いてクロ-ニングした。クロ-ンの一つは2000bpのreading fameを有し,その後報告されたヒトTSH受容体cDNAと一致していた。始めに得られたcDNAによるアミノ酸をヒトTSH受容体のそれと比較すると、4アミノ酸の配列が一致している部分が2カ所見出され,これらの部分がエピト-プである可能性が考えられた。
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