研究課題/領域番号 |
63570622
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
長町 幸雄 群馬大学, 医学部, 教授 (30008289)
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研究分担者 |
平沢 敏昭 群馬大学, 医学部, 助手 (30199054)
西田 保二 群馬大学, 医学部, 助手 (00134320)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 急性胃粘膜病変(AGML) / 血液レオロジー / 血液粘度 / 血清コルチゾール / 赤血球変形 / 胃粘膜毛細血管 / ストレス |
研究概要 |
本研究の目的は急性胃粘膜病変(AGML)発生を予防する指標を作製し、臨床応用可能な予防治療開始指針の開発にある。以下に昭和63年度の実績を概説する。(1)血液レオロジーと副腎皮質機能からみたAGMLの特徴:外科手術症例を対象として、術前から術後にわたり全血粘度および血清コルチゾール値を同時に測定した。術後AGML状態となった症例(14例)について遡及的に粘度をX座標軸、コルチゾールをY座標軸にプロットした図を作製し、相関関係を求めた結果以下のとおりである。AGML症例は血液粘度5mPa・S〜7.3mPa・S、コルチゾール16Mg/dl〜18.5Mg/dlの値を通るX軸、Y軸に平行な直線で囲む範囲に分布した。対照に用いた慢性胃および十二指腸潰瘍症例は血液粘度およびコルチゾール値がそれぞれ5mPa・S、16Mg/dl以下の範囲に分布する事実が判明した。すなわち、血液粘度が高まる背景にはストレスによる副皮質ホルモン過分泌が引き金になっていることになる。(2)赤血球変形がAGMLの発生予知の指標になり得るか否か?:少数例ではあるが、AGML症例で血液粘度の高い場合に赤血球変形が最も顕著であることが証明できた。更にラットを用い、筆者の慣用しているストレスを負荷し赤血球表面超微形態を調べた結果AGML発生早期に胃粘膜毛細血管の拡張と毛細血管内の赤血球変形および凝集現象が認められた。これと全く同様な現象がin vitroのステロイド大量投与(デキサメサゾン50mg/kg)で再現できた。以上の結果から、臨床上強力なストレスが作用して発生するAGMLの成因機序の一つである血液レオロジーの変化は、早期に内因性の副腎皮質ホルモン過分泌を伴って起こるAGML発生予知因子として臨床応用可能とみなし得る。ことに各種大手術時に加わる身体的ストレスで発生する術後AGMLは少量の血液サンプルを用いて測定できる血液粘度およびコルチゾールさらにガストリン値のモニタリングで予測と治療を行い得る。
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