研究課題/領域番号 |
63570646
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
由良 二郎 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (90079997)
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研究分担者 |
水野 勇 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (20157506)
四ツ柳 智久 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (40080189)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1990年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1989年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | リポソ-ム / VX2腫瘍 / アドリアマイシン封入リポソ-ム / 転移性肝癌 / 経門脈的投与 / 経門脈投与 / Liposome-Adriamycin / 組織cytotoxicity / liposome / liposome-adriamycin / 家兎VX2腫瘍 |
研究概要 |
この研究においては、まず、アドリアマイシン封入りポソ-ムの経門脈的投与によるアドリアマイシン組織内濃度や抗腫瘍効果について、白色家兎のVX2腫瘍転移性肝癌モデルを用い検討を行なった。リポソ-ムは、ホスファチジルコリンとコレステロ-ルのモル比2:1のものを用い、凍結乾燥法による、アドリアマイシン封入リポソ-ムを製作した。リポソ-ム化による、アドリアマイシンの肝組織内濃度は増加し、また、心臓組織内濃度は低下した。in vivoでの抗腫瘍効果を家兎にて検討したが、アドリアマイシン封入リポソ-ムの経門脈投与群は、control群やアドリアマイシン群に比し、有意にその生存期間の延長が認められた。組織学的検討でも、アドリアマイシン封入リポソ-ムの経門脈投与は、アドリアマシンの経門脈投与と比し、著明な変化を認めなかった。これらの結果から、この剤型のアドリアマイシン封入リポソ-ムの経門脈的投与は、副作用も認めず、アドリアマイシン投与より転移性肝癌の治療による有効であるとの結論を得た。これらの結果を考慮して、我々は、臨床的に転移性肝癌の治療の効果について検討を行なった。切除不能転移性肝癌の患者の10例に、皮下埋没型リザ-バ-を介して、アドリアマイシン封入リポソ-ム(20ー30mg/2 weeks)の投与を行ない、効果の検討を行なった。投与患者の全てに、肝機能障害や骨髄抑制などの副作用は認めなかった。 アドリアマイシン封入リポソ-ムを経門脈的に投与した10例の平均生存期間は439日で、胃癌の3例と子宮癌の1例が術後468日生存し、2例が600日以上生存している。以前にアドリアマイシンやMTXー5FUを経門脈的に投与し検役を行なった転移性肝癌の症例の平均生存期間は141日であり、アドリアマイシン封入リポソ-ムの経門脈投与は、手術不能な転移性肝癌の患者の生存期間を有意に延長したといえる。
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