研究課題/領域番号 |
63570695
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
森田 定雄 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (20202426)
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研究分担者 |
奥村 信二 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (70134682)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1988年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 膝関節のバイオメカニクス / 衝撃吸収特性 / 半月板 / 変形性膝関節症 / 人工膝関節の弛み |
研究概要 |
目的:生体の膝関節に加わる一般的な荷重は加速度を持った動荷重であり、膝関節はその粘弾性特性によりその衝撃荷重を減衰させている。本研究はin vitroの力学的実験より、膝関節の衝撃吸収機能について検討した。方法:正常及び変形性関節症(以下OA)を含む新鮮屍体20膝を用いた。膝関節は筋肉を除去し、関節包、靭帯等の関節構成要素は温存し、特製の落垂式衝撃試験機に固定した。大腿骨近位端に重垂を落下させて衝撃荷重を負荷し、脛骨近位端に設置したロードセルより膝肉節に加わった衝撃波形を測定した。各膝関節において最初にこの(1)関節温存状態で衝撃波形を測定し、重垂及び落下距離は一定に保ったまま、(2)内外側半月板に放射状に割を入れた場合、(3)半月板及び軟部組織を除去した場合、(4)軟骨及び軟骨下骨を除去した場合、さらに(5)人工膝関節置換を行なった場合につき、各々衝撃波形を測定した。結果:膝関節に加わる衝撃荷重の最大値(peak impact force)は(1)関節温存状態を100%とした場合、以下のステージで順次増大していき、20膝の平均値は(2)半月板断裂で113%、(3)半月板及び軟部組織除去て121%、(4)軟骨及び軟骨下骨除去で135%、(5)人工関節置換時には180%にまで増大した。また(4)のステージ、すなわち関節を全て除去した状態で正常膝(n=8)とOA膝(n=12)の衝撃荷重の最大値を比較すると、正常では152%の増加に対しOA膝では124%の増加にとどまった。(P<0.001)。これらの結果は半月板及び軟骨・軟骨下骨が有する衝撃吸収能を明らかにし、OA膝は正常よりも衝撃吸収能の劣った状態であることを示した。また人工膝関節置換時の衝撃吸収能の著しい低下は将来の人工関節のゆるみの一因とも考えられ、この点を改良した衝撃吸収能を有する新たな人工膝関節モデルが研究されるべきと考えられる。
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