研究課題/領域番号 |
63570717
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔学
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
工藤 剛 弘前大学, 医学部, 助手 (70003407)
|
研究分担者 |
工藤 美穂子 弘前大学, 医学部, 助手 (30003411)
|
研究期間 (年度) |
1988 – 1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1989年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | ANP / モルフィン / エンケファリン / ダイノルフィン / カテコルアミン / ラット / 心房筋細胞 / ナロキソン / フェンタニール / オピオイド受容体 / c-GMP / ACTH / CompB |
研究概要 |
in vivo実験の結果:無拘束、動、静脈留置カテ-テルラットではオピオイド受容体のmu型に親和性を持つ作用薬のモルフィン、フェンタニ-ルの大量投与により用量依存性の血漿ANP濃度の著しい増加がみられた。さらにANPのセカンドメッセンジャ-と思われている血漿cGMP濃度の増加も確認された。また視床下部-下垂体-副腎亢進を示す血漿ACTH、cAMP、コルチコステロン濃度の著しい増加も同時に観察された。この亢進作用は同じmu型拮坑薬のナロキソンによって完全に抑止された。しかし他のオピオイド受容体に親和性を持つ内因性オピオイドのβ-エンドルフィン、ダイノルフィン、エンケファリン(20nモル)では血漿ANP,cGMP濃度の増加は無かった。以上の結果より、モルフィン大量投与時の血漿ANP増加はオピオイド受容体のmu型を介する分泌亢進作用と結論した。しかし追加の実験でモルフィン、フェンタニ-ルの投与により著しい血漿カテコルアミン濃度の増加がみられた。この事実よりモルフィンのANP分泌効果は心房筋細胞に対する直接作用ではなく、mu型オピオイド受容体を介して視床下部-下垂体-副腎を活性化させ、内因性カテコルアミン分泌増加による交感神経亢進による結果と推察された。 in vitro実験結果:ラット心房筋分離細胞培養実験ではカテコルアミンのANP分泌促進作用が一層強く確認された。つまりモルフィン、エンケファリン、β-エンドルフィン、フェンタニ-ルには直接心房筋細胞よりのANP分泌亢進作用は無かった。しかしダイノルフィンには用量依存性の分泌促進作用がみられた。カテコルアミンは50μg/tubeでDA>NE>Eの順序でANP分泌促進作用があった。またダイノルフィンとカテコルアミンの併用により一層の分泌促進効果が得られた。とくにダイノルフィンとDAの併用では対照値の25倍と驚くべき分泌促進効果をみせた。更に交感神経遮断薬のα-、β-ブロッカ-もダイノルフィン、カテコルアミン、との併用で促進作用を増強させた。 以上の結果より内因性オピオイドのダイノルフィンとカテコルアミンが心房よりのANP分泌に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
|