研究概要 |
63年度に本研究あてに支給された科学研究費補助金 (200万円) の 内、設備備品費支出は1,295,500円で主として摘出気管平滑筋の張力測定シ ステム (恒温槽、アンプ、トランスデューサー等) の拡充に当て、ロイコトリエンの 血中濃度測定は外注とした。消耗品費は計535,752円で混合ガス、吸入麻酔薬 、モルモット、サンプリング用インジケーター等に充当した。調査ならびに研究打合せ 旅費は169,980円であり、以上を総計すると2,001,132円となり、不 足学 (-1,132円) は預金利息で充当された。 研究成果に関しては、in vitroで各種吸入麻酔薬特にセボフルレンが、 ロイコトリエン誘発性気管平滑筋に対し有意な弛緩作用を示し (雑誌、J.Anes thesiaの投稿中) 臨床応用への有用性が示唆された。しかしICU収容喘息患 者の血中ロイコトリエンは測定時期や手技にも難しい問題があり、血中濃度と重積発 作との相関関係は得られなかった。しかも、吸入麻酔薬使用によるロイコトリエン濃 度の低下傾向はつかめなかった。以上結論的にはin vitroとin vivo での研究結果に一致がみられず、当初の目的を満足する成績とはならなかった。おそ らく臨床的には喘息発作時の病態は必ずしもSRS-Aに起因するものではなく、多 彩であることが最大の理由として挙げられる。今後は気道の上皮の果たす役割につい て、EDRF (epithelium derived relaxing fac tor) の関与を中心に引き続き気道攣縮発作のメカニズムを明らかにしていくつも りである。
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