研究課題/領域番号 |
63570726
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤岡 泰博 広島大学, 医学部・附属病院・集中治療部, 助手 (00192310)
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研究分担者 |
菊地 博達 東邦大学, 医学部・麻酔学教室, 教授 (40034029)
久保田 稔 広島大学, 医学部・附属病院・手術部, 助手 (00221226)
向田 圭子 広島大学, 医学部・附属病院・手術部, 助手 (20182066)
藤井 宏融 (藤井 広融) 広島大学, 医学部・麻酔蘇生学教室, 講師 (60034021)
盛生 倫夫 広島大学, 医学部・麻酔蘇生学教室, 教授 (80033950)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1990年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1989年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1988年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | ^<2+>ーinduced Ca^<2+> release(CICR) / 悪性高熱症 / スキンドファイバ-法 / ヒト骨格筋:正常値 / 吸入麻酔薬 / 局所麻酔薬 / 統計学的解析 / 発症頻度 / Ca^<2+>ーinduced Ca^<2+> release(CICR) / ヒト正常値 / 統計的解析 / Ca-induced Ca release(CICR) / 麻酔系鎮痛薬 / アルコ-ル類 / 正常値 / スキンドファイバー法 / Ca-tnduced Ca release(CICR) / 悪性症候群 |
研究概要 |
<スキンドファイバ-法による研究>悪性高熱症(以下MH)は、骨格筋々小胞体からのカルシウムによるカルシウムの放出(Ca^<2+>ーinduced Ca^<2+> release,以下CICR)機構の異常な亢進により発症するという仮説に基づき、スキンドファイバ-法を用いた研究を行い、以下の結果を得た。1)周術期使用薬物の影響(1)臨床濃度の揮発性吸入麻酔薬は、哺乳類体温下でCICRを著明に促進し、その程度はハロセンが最も強かった。又、この促進効果は、臨床濃度のダントロレンで抑制され、臨床と良く相関していた。(2)臨床濃度の局所麻酔薬はすべてCICRになんら影響を与えなかったが、臨床濃度のおよそ1000倍の高濃度ではCICRを促進するグル-プ(リドカイン、メピバカインなどアミド型)とCICRを抑制するグル-プ(テトラカイン、プロカインのエステル型)に分類された。(3)筋弛緩薬(脱分極性、非脱分極性)や麻薬鎮痛薬はCICRに影響を及ぼさなかった。2)MHの既往歴や家族歴のない患者28人の骨格筋を対象にして、CICR速度の分布を検討し、ヒト骨格筋におけるCICR速度の正常域を決定した。3)MH並びに関連疾患患者116例の骨格筋のCICRを測定し、亢進の有無を検討した。(1)劇症MH18例中16例でCICRが亢進していたが、亜型MHでCICRが亢進していたのは27例中2例のみであった。このことから劇症MHはCICRの機構異常により発症することが明らかとなった。しかし、いわゆるMHの発症には他のメカニズムも関与していることが判った。(2)MHの家族歴のある患者18例中9例でCICRが亢進しており、劇症MHが遺伝性疾患であることが示された。 <本邦のMH症例の集計と解析>1990年末までに男性196例、女性56例計252例劇症MHの報告があり、死亡率は34.9%であった。最高体温が40℃以上では有意に死亡率が高く、ダントロレンが使用された症例の予後は良好であった。最近の傾向は、死亡率の低下や女性例の増加、エンフルレンやイソフルレン麻酔の症例の増加などであった。これらの解析の結果は、学術雑誌、学会などで発表し、本症の啓蒙に努めた。 <本邦におけるMHの発症頻度の推計>MH症例の集計と政府管掌保険報告、広島大学及び関連病院全身麻酔例をもとにMHの発症頻度を推計した。その結果、MHは全身麻酔約6万例に1例の頻度で発症すると考えられた。又男性は女性の約4倍であり、10から20才代の男性では11,000から15,000例に1例発症すると考えられた。
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