研究分担者 |
菅谷 健 三重大学, 医学部, 助手 (60206399)
西山 真人 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (10218224)
杉山 陽一 三重大学, 医学部, 教授 (30093131)
山脇 孝晴 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (50200853)
野村 浩史 三重大学, 医学部, 助手 (00192261)
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研究概要 |
前年度までの検討成績を参考に、個々の実験系の有機的連携を計り,一定の結論を導き出そうとした.その結果,1)子宮内膜間質細胞は妊娠の成立に伴い脱落膜化を来すが,同時に免疫組織化学的染色法にてEpidermal Growth Factor(EGF)の細胞内局在性が明確となり,2)[ ^<35>S]methionineーlabel・免疫沈降・autoradiographyにて,このEGFの免疫組織化学的局在性は脱落膜細胞の局所産生に基づくことがわかった.3)非妊娠時子宮内膜間質細胞および脱落膜細胞におけるEGF受容体について,Scatchard plotsにて解析したところ,いづれも単一種の受容体を有しているが、妊娠に伴い親和性(Kd)変化を来さないものの,受容体数(B_<max>)が5〜11にまで増加することがわかった(脱落膜細胞:Kd=1.02±0.28nM,B_<max>=89.4±14.4pM/2x10^5cells).したがって,妊娠に伴い脱落膜細胞から局所産生されたEGFは,脱落膜細胞表面の特異的受容体との結合により,autocrine機構を介して生理作用を発現しているものと考えられた.4)EGFのautocrine機構によりいかなる生理作用が発現されているかを検討した結果,EGFは脱落膜化に伴い分泌されるprolactin産生を抑制(IC_<50>=700pg/ml)することがわかった.5)しかも,この作用発現機序には特異的受容体に内在するtyrosine kinaseだけでなく,phospholipase Cの活性化によって賦活化されたprotein kinase Cが関与していることがわかった.6)さらに,二次元蛋白電気泳動法・autographyにて特異的蛋白リン酸化反応について検討したところ,48kDaの酸性蛋白が特異的にリン酸化を受けることがわかった. 以上のように,EGFをヒト子宮内膜の脱落膜化機構における重要な調節因子として位置づけるとともに,その作用発現機序を特異的受容体・細胞内刺激伝達機構にまで掘り下げて明らかにすることができた.
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