研究概要 |
鼻茸からアラキドン酸代謝物の、1)LTB,5ーHETE,12ーHETE,15ーHETEは高速液体クロマトグラフィ-を用いて検索索し、2)LTC_4,LTD_4,LTE_4はモルモット回腸収縮による生物学的方法、3)PGE_2,6ーketoーPGF_1_a,TXB_2はRIA法を用いて測定した。その結果、12ーHTE,15ーHETEが鼻茸中には最も多量に認められることが判明した。このことは、 ^<14>Cーアラキトン酸を用いたラジオクロマトキスキャンニング法による酸素活性の検索からも確認された。LTB_4,2ーHETE,LTC_4,LTD_4,LTE_4,はその生理学的活性から、鼻茸内に細胞侵潤や浮腫を起こし、その成因に関要する物質であることが十分に考えられた12ーHETE,15ーHETEの生理活性は、未だ多くは知られていない。しかし、その前駆物質は強い血管内皮障害作用を有するので、鼻茸由来の血管内皮細胞の培養系を確立し、内皮細胞増殖に及ぼす影響の検討を試みた。著明な作用は認められなかったが、鼻茸内に最も多いアラキドン酸台謝物であるため、この2物質の作用の解明は、今後の課題として残った。加えて、12ーHETE,15ーHETEの産生細胞を解明する目的で、最も有力と思われる繊毛上皮細胞に注目し、その細胞の培養系を確立した。 ^<14>Cーアラキトン酸を用いて検討した結果、繊毛細胞に高い酵素活性が認められた。鼻茸の成因に関して繊毛上皮におけるアラキドン酸代謝との関連を示唆する新知見である。 特殊例としてアスピリン喘息に併発する鼻茸は、慢性副鼻腔炎あるいは鼻アレルギ-由来の鼻茸に比較して、好酸球の著明な侵潤やステロイド剤に著効を示すなど、その成因の特異性が示唆された。鼻茸の治療にNDーYAGーレ-ザ-を応用する目的にて、レ-ザ-照射のアラキドン酸代謝への影響を評価したところ、微弱な影響を認めたのみであった。そこで鼻茸切除術にレ-ザ-を応用し、遠隔成績の向上が得られた。
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