研究課題/領域番号 |
63570817
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 独協医科大学 |
研究代表者 |
田中 康夫 獨協医科大学, 医学部耳鼻咽喉科, 教授 (80129048)
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研究分担者 |
井上 庸夫 獨協医科大学, 医学部耳鼻咽喉科, 助手 (20184757)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1988年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 誘発耳音響放射 / 蝸牛機能検査 / 感音難聴 |
研究概要 |
蝸牛内微小機械系の振動に基因すると考えられる誘発耳音響放射(OAE)を各種の感音難聴をもつ耳から記録し、その最良周波数、潜時、見かけの閾値、入出力の関係、反応の持続性などについて検討した。OAEの測定には所有の発振器、減衰器、濾波器およびシグナルプロセッサを用いた。外耳道に挿入した音響プローブには2連のプラスチック管のそれぞれにサブマイナーイヤホンとミニアチュアマイクロホンを結合し、純音バースト刺激後20ミリ秒の音響現象の記録を行った。刺激音の較正ならびにOAEの正確な音圧の測定に今回補助金を受けた音響測定装置(BCK、4170、2610A)を使用した。研究成果は次の通りである。 1) 正常な聴力をもつ106耳において、1.0kHzから1.4kHzに最良周波数をもつOAEが認められ、刺激開始後20msの間にOAEの2つの成分が識別できた。速い成分の平均潜時は9.4msであり、平均の見かけの閾値は10.3dBnHLであった。遅い成分は潜時13.6ms、閾値は3.8dBnHLであった。遅い成分の入出力曲線の勾配はより緩やかであった。 2) 一側性高度感音難聴のOAEの見かけの閾値は内耳奇形やムンプス難聴などの内耳障害で有意に上昇しており、心因性難聴や一部の小脳橋角部腫瘍では、閾値は正常耳の範囲内にあった。 3) 突発性難聴260耳で純音聴力域値とOAEの見かけの閾値が両耳差で比較された。両者の間には統計的に有意な相関がみられ、相関係数は0.72であった。 4) OAEの速い成分の発現率は正常聴力耳で72.6%であったが突発性難聴耳では聴力域値の上昇にしたがい低下し、高度難聴で消失した。 5) OAEは蝸牛機能の他覚的検査として十分役立つ指標である。特にその潜時が14ms近辺の遅い成分は、外毛細胞機能に連係した代謝依存性の微小機械系振動をより敏感に示す指標として有用である。
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