研究分担者 |
稲福 全太郎 帝京大学, 医学部, 助手 (10213125)
正田 政一郎 帝京大学, 医学部, 助手 (50216165)
古谷 和正 帝京大学, 医学部, 助手 (90190165)
西川 雅子 京都大学, 医学部, 助手 (50201687)
小椋 祐一郎 京都大学, 医学部, 助手 (70191963)
石郷岡 均 京都大学, 医学部, 講師 (80135590)
本田 孔士 京都大学, 医学部, 教授 (90026930)
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研究概要 |
網膜色素上皮は正常な網膜の接着および網膜剥離の治癒機転において重要な役割を持つ一方,網膜剥離の重篤な合併症である増殖性硝子体網膜症にも深く関っている。本研究において,生体眼の網膜接着力およびその増強,汎網膜光凝固術のERG C波におよぼす影響,眼虚血の網膜色素上皮におよぼす影響について成果が得られた.いずれの研究も有色家兎を用いた。網膜下腔にマイクロピペットを刺入し,液を注入することにより作製される限局性網膜剥離が進展する際の網膜下腔と硝子体側の圧差をmicropressure measuring systemにより記録した。理論式にあてはめて得られた家兎生体眼の網膜接着力は(1.8±0.2)×10^2dyn/cmであった。網膜接着力は,種々網膜凝固術によっても20%増強された。このことは,網膜色素上皮の代謝活動が網膜接着力に関与していることを示唆する。網膜色素上皮の機能を反映するERG C波を指標として,網膜剥離の治療法の1つである汎網膜光凝固術の効果を検討した。凝固早期にはC波は消失し,炎症・浮腫による網膜色素上皮の機能障害が強いと考えられたが,長期にわたって徐々に回復しバリア-機能は再構築され得ることが判った。家兎眼で網膜剥離から増殖性硝子体網膜症を生ぜしめることは出来なかったが,眼虚血によって網膜色素上皮の増殖が起こることを発見した.眼内圧を上昇させることで得られる眼虚血を負荷し,その後の変化を光学顕微鏡,電子顕微鏡にて観察した。網膜の神経細胞は容易に変性壊死に陥ったが,ミュ-ラ-細胞,網膜アストログリアおよび網膜色素上皮は残存した。眼虚血後1月で網膜色素上皮は遊走,重層化など増殖傾向を示した。このことは網膜剥離がなくても,虚血のみによって網膜色素上皮が増殖し得ることを示唆している。
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