研究概要 |
1.子のう菌中、Talaromyces,Eupenicillium,Neosartorya,Hamigera,Eurotium属の合計50余の菌株につきマウスでの異常発現を指標に毒性検索を行い、新たに毒性が見られたEupenicillium hirayamae,Neosartorya fischeriの毒性本体を7-epe-sclerotiorin,tenellin類似構造の1-hydroxy-2-pyridone誘導体とそれぞれ明らかにした。マウス肝臓モノアミン酸化酵素阻害(MADI)試験で比較的強い活性が示されたTalaromyces luteusの活性本体として単離された新物質TL-1、-2は共にC_<19>H_<23>O_4Clの分子式を持つ黄色物質で、前者は(8R)-7-deacetyl-O^8、8-dihydro-7-epi-sclerotiorin、後者は前者の11位の(Z)-異性体の構造を有するazaphilone系化合物であると判明した。MAOI活性を有する物質はParkinson病の治療に利用できる可能性が考えられるため現在更に検討している。 2.担子菌中、採集により相当量の天然子実態が入手できた数種につきマウスでの異常発現を指標に毒性検索を行い、新たに致死毒性が見出されたアシナガヌメリにつき毒性成分の単離を行い、HS-A、-B、-Cと仮称した物質を得た。HS-Aは近縁菌より細胞毒性成分として以前得られていたlanostane系トリテルペン3-acetyl-2-(3'hydroxy-3'-methyl)-alutaryl-crustulinolに一致し、新化合物HS-B、-Cも共に-Aに関する構造を有すると判明した。HS-A、-B、-Cの致死毒性は中枢神経作用性のものと考えられるが、消化器系への異常も見られたのでマウス小腸標本Magnus法で調べたところ、これら化合物は抗acetylcholine作用を有することが判明した。 3.子のう菌、担子菌の免疫作用性成分の探索方法の検討については細胞性免疫系への影響をin vitroの条件で調べるリンパ球幼若化反応を一次検索に用い、二次検索としてin vivo条件で調べる遅延型過敏反応を用いる二段階選抜方式が探索方法として適当であると判明した。
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