研究課題/領域番号 |
63571003
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
川添 豊 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (80106252)
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研究分担者 |
高橋 和彦 名古屋市立大学, 薬学部, 助手 (40117833)
貝谷 トヨ 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (10080201)
幸田 光復 (幸山 光復) 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (60124286)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1989年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1988年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 代謝 / 含窒素複素環化合物 / 発癌性 / 遺伝毒性 / フッ素置換体 / 発癌活性化 / ミクロゾ-ム酵素 / キノリン誘導体 / フッ素置換 / キノリン / 変異原性 / アミノキノリン / 芳香族アミン |
研究概要 |
多くの含窒素複素環芳香族化合物には有用な生物活性が知られている。一方、当該化合物群には潜在的遺伝子傷害性が予測され、医薬品の開発途上で、その遺伝毒性が疑われたために、その開発を断念した例は少なく無い。本研究は、芳香族アミン類の発癌代謝活性化の経路を踏まえて、代謝活性化過程に与えるフッ素置換の効果に関する一般則を明らかにし、医薬品開発に広く応用可能な知見を得ようとしたものである。置換基として、F原子に着目した理由は、本来の活性発現部位から離れていれば、一般に、生物活性に与える効果は小さく、一方、F置換芳香環部位における発癌代謝(オキシド経由)には大きな阻害効果を及ぼす事が期待されるからである。本研究において、含窒素複素環芳香族化合物の発癌活性化に直接かかわる位置の水素をフッ素で置換すると、微生物に対する遺伝毒性が完全に消失する事を明らかにした。Fの代わりにCIあるいはBrで置換しても遺伝毒性は消失するが、同時に強い細胞毒性が発現する事を明らかにし、F置換の有用性を実証した。本研究においては、キノリン誘導体をモデルとして、発癌代謝に係わる位置にF原子を導入する事によりその遺伝毒性を完全に除去できる事を実証したものであるが、今後、3環以上の含窒素多環芳香族化合物においても同様な遺伝毒性除去が可能である事を実証する事は、極めて有望な課題である。尚、本研究の一つの成果として、F原子の導入により遺伝毒性が消失した3ーFーキノリンの、肝ミクロゾ-ムによる代謝の全ぼうを明らかにした。即ち、当該化合物の主代謝産物は、発癌性を有するキノリンと同様に、3ーFー5,6ーdihydroー5,6ーdiolであり、主代謝経路には全く差異が見られなかった。この事実は、これらの主代謝経路は解毒経路であり、発癌活性化は、ピリジン環部に起こるマイナ-な過程である事を強く支持したものである。
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