研究概要 |
インスリン上の酵素標識部位が明確なる種類のペルオキシダーゼ(HRP)標識インスリン(GlyAl,LysB29-及びGlyA1,LysB29-HRP-インスリン)を調製し、これを用いて、サンドイッチ法による抗インスリン抗体の測定法を新たに開発した。さらに、インスリン上の1箇所にHRP標識したコンジュゲートは2箇所標識に比べて高感度が得られることを初めて実験で示した。測定操作法の概要:抗インスリン抗体を含む溶液100μlにNa,k-リン酸塩緩衝液(10mM,pH7.0,100mMNaCl,1mMMgCl_2,0.1%BSA含有)200μl及びィンスリン結合ビーズ(6mm径)を加えて4℃24h静置する(第1反応)。精製水2mlで2回ビーズを洗浄後、HRP-インスリン溶液300μl中に移し、4℃、3h静置する(第2反応)。精製水2mlで2回洗浄後、ビーズ上のHRP活性を測定するため、ビーズをトリス塩酸緩衝液(0.15M、pH8,5)700μl、HPPA水溶液(60mM)350μlの混液中に投入し、H_2O_2(40mM)70μlの添加で反応を開始し、30℃、30分後、Na_2SO_3(10(w/v)%)70μlを加えて反応を停止後、励起波長320nm、蛍光測定波長404nmにおける蛍光強度を測定する。 3種類のHRP標識インスリンを用いて抗インスリン抗体の測定を行なった。モルモット抗インスリン血清またはモルモット抗インスリンポリクローナル抗体をサンプルとしたものはシグモイド型の標準曲線を与え、一方、マウス抗インスリンモノクローナル抗体(A8-A10を良く認識)の場合には直線に近い標準曲線が得られた。いずれの場合にも、GlyA1またはLyoB29を介してHRP標識したものが高感度を与えた。 以上の結果は、これまで予想はされていたが、今回、標識部位の明確なHRP-インスリンを使用することにより、初めて実験システムを組み得たことにより得られたものであり、エンザイムイムノアッセイ開発に寄与する有用な知見を得た。
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