研究概要 |
癌とならんで人類の福祉の最大の脅威の一つである動脈血栓症の成立において、血小板は主役を演じていると考えられるが、その詳細はいまだ明らかでない。これまで、血小板は主として活性化の面から研究されてきたが、血小板機能抑制に関する研究は少ない。 本研究の目的は、生体内で唯一の血小板機能抑制因子であるプロスタサイクリンの血小板との相互作用をレセプタ-の観点から検討しようとするものである。 Dutta-Royの方法により血小板膜PGE_1/PGI_2の純化した。 健康ヒト新鮮血小板を分離洗浄後、0.05%Triton X-100、1.0mM PMSF,5mM DTT,1mM EDTAを含む50mMトリス緩衝生食液pH7.4を用いて溶解、超遠心後、上清を採取、試料とした。 試料を濃縮後、上記バッファ-で平衝化したDEAEセルロファイン・カラムクロマトグラフィに添加、0M〜0.7M KCl濃度勾配によって溶出。得られた各フラクションにBio-Beads SM-2を加えて、Triton X-100を除去後、各フラクションの蛋白濃度(Lowry法)を測定し、さらに、レセプタ-活性を〔^3H〕PGE_1結合性(マイクログラスファイバ-法)によって測定した。KCl濃度 0〜0.5M までの分画にレセプタ-活性は認められず、0.7MのKClによって溶出される分画にレセプタ-活性が見出された。強いレセプタ-活性の認められる分画を、セファデックスG200・カラムを用いてゲル濾過を行ない、レセプタ-活性を持つ単一のピ-クを得た。このピ-クの蛋白組成をSDSポリアクリルアミド・ゲル電気泳動(Laemmli法)によって検討すると、190Kダルトンの主要なバンド以外に、数本のマイナ-なバンドが認められた。FPLCにMono Qを設置して、純化を試みたが、結果は同様であった。
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