(1)新開発の高精度数値計算法「HIDM」により高周波電磁場の動重力ポテンシァルを用いる開放端磁場中での端損失抑制、プラズマ密度ビルドアップの過程(ビルドアップ対する動重力ポテンシァルの閾値の存在、閾値以下での不安定性の発生)を明らかにした。さらに電子加熱、あるいはイオン加熱によりプラズマ内の静電ポテンシァルを制御できることを「HIDM」を用いた数値計算で示した。 (2)高周波電場を印加した磁場中シートプラズマの挙動を「HIDM」を用いて数値解析し、印加高周波電場は、振動数がプラズマの固有モードと非共鳴のときはプラズマ内で強く遮蔽され、共鳴するときはプラズマ内に集中することを確認した。 (3)プラズマのデバイ遮蔽によりシース構造が存在するため、従来の数値計算手法では極めて困難な問題の一つである。高電圧を印加して行うプラズマ輸送過程の定量的解析を「HIDM」で実行した。 (4)円形断面導波管中における電磁波伝播の過渡現象を「HIDM」で数値解析し、導体表面における電磁波の反射、および円柱座標系における中心軸(γ=0)上の微分方程式の特異性の正確な処理の可能なことを確認した。 (5)軽イオンビームによる球状微小標的圧縮のシミュレーションを「HIDM」で行い、非線形熱伝導係数に起因する熱衝撃の形成、および中心部の圧縮過程を再現した。「HIDM」は偏微分方程式に対する数値解析法として、従来の手法に比べ格段に優れた性能をもつことを実証し、プラズマ挙動解析のアルゴリズムとして機能できることを広く確認した。高速化を実現し「HIDM」の実用性を一層高めるため、高階微分を含む偏微分方程式を、変数の数を増やすことなく数値解析できる新しいアルゴリズムを考案しプログラムを作成した。ただし、このプログラムは期待ほどには高速では無かったことが明らかとなった。
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