研究概要 |
パソコンやワークステーションの大容量化・高速化に伴い,これを用いて大規模なシミュレーションが各分野で行われるようになってきたが,その際多量に必要となる乱数の供給ルーチンとしてメーカーが提供しているものは,40年以上も前にレーマーによって提案された線形合同法に基づくものがほとんどであり,周期が短く,ランダムネスにも欠陥があることが従来から指摘されている。本研究では,これに代わるものとして,M系列を組み合わせて,長周期で高精度の乱数を生成するルーチンを設計し,プログラムを作成することを目標とした。 まず,研究代表者等の従来の研究成果に基づき,各種パラメタの値が与えられた場合に,それによって生成される数列のランダムネスを評価するためのプログラムを作成した。次に,これを用いて,多くのパラメタの値の組合せに対して,その良さを評価し,適切なパラメタの組合せを選び出すという作業を行った。この段階では,試行錯誤が必要なので,相当の計算時間を必要とした。 以上のようにして得られた適切なパラメタを用いて乱数を生成するプログラムを作成した。32ビットのワークステーション用にはC言語でプログラムを書き,十分高速に良質な乱数列が生成できることを確認した。16ビットのパソコン用にはBASICを用いたが,初期値の設定段階については,これではやや時間がかかりすぎるので,この部分のみ機械語に書き直してみたところ,十分実用に耐える速度に改善することができた。 研究成果は,Technical Report3編,雑誌論文1編,口頭発表4編(国内2編,海外2編)の形で公表済であり,1989年中に,さらに海外での招待講演1件,雑誌への投稿1編を予定している。
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