カラー画像処理や符号化の研究は、(1)信号を人間の色知覚の3属性(Hue、Value、Chroma)にもとづく均等知覚空間上で、 (2)処理誤差を実際に知覚される色差と関係づけて扱う、事が有効である。詳細に調査研究した結論として(H、V、C)色空間の均等性が保障されており且つ色差が定義されているマンセル色空間(正確には修正マンセル色空間)を用いる事とした。この色空間を適用する場合、(R、G、B)【tautomer】(H、V、C)データの相互変換は変換表が与えられているのみであり、実用上の支障が多く、又、既に発表されているL^*a^*b^*に基づく方法も近似精度に問題がある。そこでまず、簡単にかつ精度よく(R、G、B)【tautomer】(H、V、C)データ変換を行うことのできる数学的相互交換方法を求めた。ここでは、ある変換関数を仮定して、カラーテレビの色再現範囲かち均等にサンプルした250代表色を用いた重回帰分析を行い、変換関数の未定係数を定める方法をとった。求めた方法をMTMと名付けた。またニュートン法を応用した逆変換法の方法を示した。MTMによれば、従来の変換方法に比較してはるかに精度よくしたも完全に数式上で信号の相互変換が行えることを確認した。 得られた均等色空間の量子化は次のように行う。修正マンセル色空間は、人間の色知覚測度にしたがってスセーリングされているので、単に線形量子化すれば、色知覚の固有空間を均等に分割したことになる。しかしながら、実際の画像のように輪郭や境界を含む場合には、H、V、Cの各々の重みが異なる調査研究の結果明らかとなったので、この重みを考慮して、H、V、C各信号の量子化ステップと、評価語で規定されているNBS色差との関係を明らかにした。 画像の空間的な相関性、輪郭の連続性、閉輪郭で囲まれた領域の色相の一様性などを符号化に利用する研究は今後行っていく予定である。
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