研究概要 |
本研究により得られた成果は、次の五項目にまとめられる。 1.連想形記憶の連想処理能力の向上に関する研究成果 連想形記憶における連想能力の向上は画像情報の類似性判定能力の向上につながる。そこでここでは、不完全画像が入力された場合でも安定で、高い連想処理能力をもつ連想形記憶の構成方法を提案した。この方法はウィナ-フィルタ-の構成理論に基づくもので、不完全画像に対しても平均二乗誤差最小の最適な類瞭性判定処理を行うことができる。 2.大規模な連想処理システムの構成に関する研究成果 連想形記憶を用いた大規模な画像の類似性判定システムを構成するための方法を提案した。この方法は、異なった時間・異なった場所で個別に構成された小規模なシステムを複数個統合して大規模なシステムを構成するもので、この方法で実際に有効に機能することを確かめている。 3.ニョ-ラルネットを用いた画像情報の類似性評価に関する研究成果 連想形記憶は二層のニュ-ロン回路である。ここでは更に高い連想処理能力を得るため、より複雑なニュ-ロン回路(ホップフィ-ルド回路,多層ニュ-ロン回路)について研究を行った。その結果、回路の解析手法、回路定数の決定法,初期値決定法に関して有用な結果を得た。 4.画像情報の類似性判定のための特徴量に関する研究成果 画像情報の類似の判定に、従来からいくつかの特徴量が用いられている。ここではこの中で特に重要で基本的と思われる9種類の特徴量について類似性判定実験を行い、これらの特徴量の性質を検討した。 5.画像情報の情報圧縮に関する研究成果 連想形記憶に与える画像情報の情報圧縮に関して新しい方法を提案した。提案した方法は、多値ディザ法とPA法を用いるもので、大幅な情報圧縮を行っても高品質の画像を再生できるという特徴をもつ。
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