研究概要 |
1.ゴボウおよびヤマゴボウの炭水化物組成の比較 ゴボウとヤマゴボウ(ゴボウアザミ)の脱脂粉末を試料として炭水化物組成を比較した。試料の炭水化物(多糖)を分画し、各画分の糖組成の分析、メチル化分析の結果、ゴボウ、ヤマゴボウの基本的な多糖の成分は殆んど同じであった。ゴボウもヤマゴボウも貯蔵多糖としてフルクタンを含んでいた。ゴボウ、ヤマゴボウの細胞壁はペクチン質(中性糖が結合したラムノガラクツロナン)、ヘミセルロ-ス(アラビナン、キシラン、ガラクタン、アラビノガラクタン、キシログルカン)とセルロ-スの比がそれぞれ53.6:8.0:38.4と55.8:7.2:37.0であった。フルクタンと細胞壁多糖の比はおおよそゴボウが47:53、ヤマゴボウが66:34であった。 2.ゴボウから酸性キシランの分離、同定 ゴボウの細胞壁多糖の化学構造を調べるために、脱脂したゴボウ粉末の多糖を熱水(ペクチン質I,PS-I)、0.5%しゅう酸アンモニウム(ペクチン質II,PSーII)、4%水酸化カリウム(ヘミセルロ-スI,HC-I)および24%水酸化カリウム(ヘミセルロ-スII,HC-II)で抽出して8つの画分に分画した。HC-IIは酢酸で中和して沈殿する画分(HC-IIA)と上清画分(HC-IIB)に分画した。各画分の構成単糖のモル比からHC-IIB画分にキシランの存在が示唆された。HC-IIB画分を精製し、精製HC-IIB-1をDEAE-Sephadex A-25(酢酸型)クロマトグラフィ-に供し、得られた3つの主なピ-クのうち、最後に溶出したピ-ク(HC-IIB-1-C)をメチル化分析と部分水解することにより、ゴボウ中に存在するキシランの構造を推定した。ゴボウのキシランは、主鎖はキシロピラノ-ス残基がβ-(1→4)結合した直鎖状の構造で、そのうち約8.3%に4-0-メチル-α-D-グルコピラノシルウロン酸残基が2の位置で側鎖として結合しているものと考えられる。
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