研究概要 |
1.ビススチルベン型蛍光増白剤(FWA-1)の生分解を確認した環流土壌よりFWA-1を唯一の炭素源とする寒天培地によく生育するFWA-1資化性菌としてF111株,F113株,F121株,F131株,F132株,F151株,F152株,F162株,F171株,F172株の10株を得た。これらの菌株により液体培地による生分解実験を試みたが、FWA-1は生分解性が悪く8日で15%程度しか減少しなかった。そこで他の有機化合物を分解する能力を有する微生物の中からFWA-1の資化性菌を検索したところ100株のブタン菌の中からFWA-1を含有する培地に良く生育する4株を見いだしたので、これについてFWA-1の液体培地による生分解実験を行なったが、これらについても約20%の減少にとどまり、FWA-1を効率よく分解する菌株は得られなかった。しかしながらFWA-1に紫外線を照射し得られた光分解生成物の中にF151株,F152株,ブタン21株の3株により生分解を受ける物質を見いだしたので、これに対する生分解実験をおこなった。 2.液クロによりこの光分解生成物を分離濃縮して調製した試料を唯一の炭素源とする液体培地による生分解実験から、FWA-1に近い化学構造を有するが蛍光の弱い光分解生成物をブタン21株が効率よく生分解し、蛍光を有する別の物質へと変換する過程を見出した。またこれらの化学構造の推定を行なった。 3.FWA-1の光分解生成物分解菌であるブタン21株は好気性グラム陰性の桿菌で運動性はなく、ミニテック同定システムによるとAlcaligenesまたはPseudomonas属に含まれるものと考えられる。 これらの結果をもとに、PCB分解菌等他の難分解性物質分解菌等でも生分解実験を行ない日常生活の中に多用されているFWA-1の分解菌を検出する努力を続けている。
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