研究概要 |
I.発育期生徒の持久走トレ-ニングの呼吸循環系機能に及ぼす影響: 12〜13歳の健常な中学生男子10人について,無理のない速度での12分間走を週3回で8週間にわたり継続し有気的作業能に及ぼす影響を検討した。仰臥位安静時の左室拡張終期〓は,4.3%有意に増加し,一回拍出量が平均62.9mlから72.5mlへ15.3%有意に増大した。また9分間の最大下ペダリング時の収縮期血圧および心拍数は,それぞれ有意に減少し心筋O_2消費の効率化が示唆された。さらに最大O_2摂取能(VO_2max)および無気的作業聞値(AT)ーVO_2は,各15.2%および19.4%の有意増を示した。これらの成果より本トレ-ニングが生徒の心筋収縮性を高進し,有気的作業能を最大下および最大運動時において向上させることが明らかにされた。 II.青年長距離走者への高所順応トレ-ニングの呼吸循系機能に及ぼす影響:19〜22歳の陸上長距離選手6人について3,000m相当高度で70〜80%VO_2maxで30分間のトレッドミル走(平均心拍数:153拍/分)を、週3回で8週間継続し,常圧下で同等のトレ-ニングを行った対照群5人と比較した。高所トレ-ニング群ではOBLAー走行速度が13.3%有意に増大し,OBLAーVO_2も13.7%の増加傾向を示した。また赤血球の高色素性適応が対照群よりも著明であり,本トレ-ニングが解糖系抑制とO_2運搬系の促進に貢献したものと考えられる。 III.青年ラグビ-竟技者への高所順応トレ-ニングの呼吸循環系機能に及ぼす影響:18〜21歳の男子ラグビ-竟技者6人について,1,500m相当高度で75%VO_2maxで30分間のペダリング(平均心拍数:159拍/分)を週3回で8週間継続し,常圧下で同等のペダリング・トレ-ニングを行った対照群5人と比較した。OBLAーVO_2は高所トレ-ニング群で6.2%の増加傾向を示し,総仕事量と最大作業時間は各39.5%と18.4%の有意増を示した。これらの結果から,1,500m相当高度における高所順応トレ-ニングは,常圧下トレ-ニングに比べ解糖系抑制を誘起し無気的作業聞値の有意な増加をもたらしたものと考えられる。
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