研究課題/領域番号 |
63580142
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
代謝生物化学
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
金沢 徹 旭川医科大学, 医学部, 教授 (80028141)
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研究分担者 |
大宮 博士 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80194299)
鈴木 裕 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50183421)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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キーワード | 筋小胞体 / Ca^<2+>-ATPase / 蛍光プローブ / I-EDANS / 蛍光異方性 / コンホメーション変化 / Na^+,K^+-ATPase / A23187 |
研究概要 |
1.筋小胞体Ca^<2+>-ATPase(Caポンプ)の特異的SH基(Cys^<674>)を蛍光プローブ(I-EDANS)で選択的ラベルし、通常の蛍光光度計とストップトフロー蛍光光度計を用いてCa^<2+>-ATPaseの全触媒過程にわたりラベルの蛍光強度と定常状態蛍光異方性を測定し、次の結果を得た。(1)酵素のCa^<2+>輸送部位にCa^<2+>が結合して酵素が活性化されるとき、蛍光強度と蛍光異方性が若干増大した。(2)Ca^<2+>で活性化された酵素の触媒部位にATPが結合するとき、蛍光強度と蛍光異方性が著明に減少した。(3)反応の過程でリン酸化酵素中間体がADP感受性型からADP非感受性型に変換されるとき、蛍光強度と蛍光異方性が若干減少した(4)逆反応でpiからリン酸化酵素中間体が形成されるとき、蛍光強度と蛍光異方性が著明に減少した。これらの結果は、Ca^<2+>の結合によって酵素が活性化されるときラベルの運動性を制限するような構造変化がラベル近傍で起こること、Ca^<2+>で活性化された酵素の触媒にATPが結合するときラベルの運動性を増大させるような構造変化がラベル近傍で起こること、この構造変化が全触媒過程にわたってdominantであることを示している。更に、この結果は、酵素の触媒部位にATPが結合すると、Cys^<674>に結合したラベルの微環境がより弛緩した状態になること、及びこの弛緩した状態が全触媒過程にわたってdominantであることを示している。 2.先に、我々は筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseの触媒過程における酵素の異性化がA23187により選択的に阻害されることを示した。本研究では、同じP-typeに属するNa^+,K^+-ATPaseについてA23187の作用を検討し、筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseに対する作用と比較した。その結果、Ca^<2+>-ATPaseの場合と同様、A23187はNa^+,K^+-ATPaseの触媒過程における酵素の異性化を選択的に阻害することが示された。従って、これらのP-type ATPaseにはA23187で阻害される共通の機構が存在すると推定される。
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